TVアニメ『どろろ』五感を閉ざされた人間を演じる難しさとは？百鬼丸役・鈴木拡樹さんインタビュー

　現在発売中のPASH！2月号では放送中のTVアニメ『どろろ』の特集を掲載しています。その特集内に掲載されている、百鬼丸役・鈴木拡樹さんのインタビューの一部をご紹介！

百鬼丸役・鈴木拡樹さんへインタビュー

――テレビアニメの声優は初挑戦とのことですが、アフレコに臨むにあたり準備していたことはありますか？

　何か準備をしないとこの作品の現場に立つことができないと思ったので、色々とごちゃごちゃ考えたのですが…。でも、声優業をやり続けてきた方のような技術は僕にはないのでそれは現場で学ぶことだと思い直し、とにかく覚悟といいますか、新しい発見を常にしなきゃいけないと思いましたね。

――「発見」とは例えば？

　マイク前に立って初めて分かることもあるんです。例えばマイク前に立つ位置ひとつとっても、ここだと遠いんだ、とか。そういう基礎的なものを知ったうえで自分が感じた百鬼丸という人物を表現しなきゃ、と思いました。

――鈴木さんご自身は目も見えて口もきける状態のなか、五感を閉ざされた人間を演じる難しさは感じていますか？

　今まで、「五感が失われていく」様子を描いた作品は割とあったと思うのですが、「五感が回復していく」作品ってたぶん少ないと思うんですよね。僕としては、回復する五感のなかで一番衝撃を受けるのは目か耳だと思うんです。情報量が多すぎるじゃないですか。

　初めて目が見えたり音が聞こえたら、「これは一体なんだ!?」となると思うんです。『どろろ』の台本だと、感覚が戻ったときの百鬼丸が怖がっていて、なるほどと思いました。今まで知らなかったものをいきなり与えられるのは怖いですよね。そういう感覚は、考えがいがあって面白いです。

――台本を読んでいると「！」や「…」といった言葉ではない息遣いのようなセリフが多いのですが、どんなふうに演じているのでしょうか？

　その場で感じたままに息遣いをしています。息遣いも表現なので、前のシーンのお芝居とつながるように呼吸を合わせないといけないんですよ。例えば、緊張しているのかしていないのか、状況を理解できているのかできていないのかによって、呼吸の浅い深いなどが違ってくると思うんです。

　僕が解決できているかはわからないのですが、今はとにかく、このシーンにはどの心情があうんだろう、この心情だったらどれくらい息を吸うんだろう、と考えながら探り探りやっていますね。

――鈴木さんは舞台でも百鬼丸を演じますが、今の段階で考えていることはありますか？

　今一番思っているのは、アニメで得た体験を持っていったほうがいいんだろうなということ。まずは「こういうふうに体験してきたよ」っていうのをやってみて、そこから広げていくように舞台も作っていけたらと思うんです。ただ、舞台は舞台で新しい挑戦なので、そればかりに縛られないよう、バランスが難しいところですよね。

　でも僕は、舞台って無限の可能性があると思っているんです。極端にいえば、例えば義手を取ったら刀が出てくるのも違う見せ方をしていいわけで。戦っているシーンでは躍動感を出すために、刀にしなる素材を使うのもカッコいいと思いますし、やり方はいろいろあると思っています。

――ありがとうございました。最後に、読者にメッセージをお願いします！

　簡単な言葉にしてしまうと、僕、完成した映像を観て、すごいものが生まれているなと思ったんですよ。だから、本当に世代を超えてたくさんの方に楽しんでほしいです。これからどろろと旅をして、百鬼丸にいろいろな変化が生まれてくるので、彼の心の動きや表情にも注目して観ていただければと思います。

（※PASH!2019年2月号より抜粋）

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PASH! 2019年 02 月号 [雑誌]

DATA
■『どろろ』
公式サイト：https://dororo-anime.com
公式 Twitter：@dororo_anime

ON AIR：
2019年1月7日よりBS11にて毎週月曜24:30から放送
2019年1月11日より時代劇専門チャンネルにて毎週金曜26:00から放送

配信：
Amazon Prime Videoにて日本・海外独占配信
第1話：日本では1月6日（日）24:00頃より先行配信

STAFF：
原作＝手塚治虫『どろろ』
監督＝古橋一浩
シリーズ構成＝小林靖子
キャラクターデザイン＝岩瀧智
音楽＝池頼広
制作＝MAPPA/手塚プロダクション
製作＝ツインエンジン

CAST：
百鬼丸＝鈴木拡樹
どろろ＝鈴木梨央
琵琶丸＝佐々木睦
ナレーション＝麦人

©手塚プロダクション/ツインエンジン