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科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』山姥切長義役・梅津瑞樹&亀甲貞宗役・松井勇歩の対談インタビュー完全版公開!

2020.07.16 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶に出演する、梅津瑞樹さんと松井勇歩さんにインタビュー。発売中のPASH!8月号掲載記事に追加エピソードを加えた完全版をPASH!PLUSで独占公開します!

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『ベルサイユのばら』というワードで道が開けた

——ご出演が決まったときのお気持ちは?

梅津 僕は、今から約一年前に上演された『慈伝』が『刀ステ』初参加だったのですが、『慈伝』当時は、次にいつ出られるか想像できなかったので、再び『刀ステ』の世界に戻る機会をいただけたことがすごく嬉しかったです。

松井 マネージャーさんから電話で「決まったよー!」と聞いたときは、久しぶりに「ええっ!?」という大きな声が出ました。それくらい、いつかは自分も出たいと憧れていた作品でした。僕は『慈伝』でアンダースタディ(編集部注:メインキャストが何らかの理由で演じられなくなったときのための代役)として稽古に入っていたため余計にその思いが強くなったので、本当に驚いたし嬉しかったです。

——松井さんは念願叶ってのご出演だったのですね!

松井 そうですね。僕は「劇団Patch」という劇団に所属しているのですが、劇団Patchを作ったのが(舞台『刀剣乱舞』で脚本・演出を務める)末満(健一)さんでしたし、同じ劇団に所属している納谷 健が小夜左文字役、三好 大貴が南海太郎朝尊役として出ているので、『刀ステ』はずっと身近に感じていました。

——梅津さんは、『慈伝』を振り返っていかがですか?

梅津 60公演という公演数は経験がなかったですし、稽古場からも大変なことが多くて…。長い長い戦いで、そうそう忘れられない色濃い夏だったなと思います。

——「大変」というと?

松井 末満さんは妥協を許さない方なので、稽古場でもとても丁寧に演出してくださるのですが、そのときの言葉がすごく感覚的なんです。僕も劇団Patchの最初の頃はそうだったのですが、末満さんの言葉を受け取りきれなくて、その言葉から自分で想像を広げ、感じ取らなければならない。『慈伝』は刀剣男士が多かったですし、お芝居を始めて間もないキャストも何人かいたので、彼らは必死で末満さんに食らいついていて。そういう様子を見ると、「僕もこんな時期があったな」と懐かしく感じると同時に、「全力でサポートしよう!」と思いました。

 なので、末満さんがおっしゃっていることを僕なりに解釈して他のキャストの方に伝える、ということが多かったですね。梅ちゃんが必死こいてるのも、近くで見ていましたね(笑)。

梅津 僕、『慈伝』の稽古場での勇歩さんは南泉一文字役の谷水 力と一緒にいる印象が強くて。南泉一文字の猫っぽい動きをするにはどうしたらいいか、相談していたのを側で見ていた記憶があります。

松井 やってたねぇ(笑)。力くんと、大包平役の加藤 将くんとは、特に芝居の話をしていたかもしれません。

——梅津さんは、稽古場ではどういった苦労があったのでしょうか?

梅津 2.5次元舞台でこれだけ大きな役をいただいたのは初めてだったので、キャラクターを演じることへの壁を感じていたんです。今思えば、2.5次元舞台だからといって壁を感じる必要はなかったのですが…。当時は山姥切という名前を冠していることへのプレッシャーを感じてしまい、どうやって役を自分の芝居に落とし込めばいいのか全然分からなくて。

——その壁は、どのように乗り越えたのですか?

梅津 それはもう、いろいろな人のお手を借りて。例えば声ひとつとっても、ゲームの声真似をしてもそれが本当に似ているかは自分では分からないわけで。それと同じように、ちょっとした仕草や佇まいが本当に山姥切長義としてアリなのかという部分を、周囲のキャストの方々に相談することもありました。

——相談相手は?

梅津 座長であるまっきーさん(荒牧慶彦)にも相談しましたし、同い年のキャストには、休憩時間のたびにこっそり「あそこの芝居どうだった?」と聞いていました(笑)。

——末満さんとはどのようなやりとりが?

梅津 末満さんは、シーンが終わるとバーっと演出を付けてくださるので、まずはその意味を自分のなかでどう解釈するか、というところから休憩時間が始まるんですよ(笑)。末満さんは先生ではないですから、「ここはこういう意味ですか?」と事細かに聞いてしまうのは違うと思いましたし、自分で考えて理解するのがプロとしてあるべき姿だと思ったので、末満さんに全部聞く、ということはなかったですね。

——なるほど。ではご自身のなかで噛み砕いて、それでも迷った場合はキャスト同士で相談していたんですね。

梅津 そうですね。ただ、相談すると、相談相手にも責任の片棒を担いでもらっていると感じてしまうんです。これは僕の考えすぎかもしれないのですが…。結局最後に演じるのは自分なので、自分がどう感じるか、ということを大事にしていました。

——松井さんと梅津さんの間では、どのようなやり取りがあったのですか?

松井 僕、すごく印象に残っていることがあるのですが、末満さんがおっしゃったひとつのワードで、それまで苦労していた梅ちゃんの空気が急に変わった瞬間があったんです。そのとき、末満さんも「お、変わったなぁ!」とおっしゃっていて。梅ちゃん自身はその瞬間はまだ掴めていない感じだったのですが、僕から見ても明らかに山姥切長義の雰囲気がバチーンと変わったんです。それが本当にすごくて…! その言葉というのが『ベルサイユのばら』だったんです。

梅津 それはめちゃめちゃ覚えてます…!

——梅津さんは『ベルサイユのばら』という言葉をどう理解されたのですか?

梅津 恐らく末満さんは“ノーブルさ”みたいなことをおっしゃっていたんだと思います。僕なりに『ベルサイユのばら』のニュアンスで演じてみたのですが、勇歩さんがおっしゃるように僕自身はいまいちピンと来ていなかったんですよね(笑)。ただ、その後稽古の動画を見て『ベルサイユのばら』の前後の芝居を比べたら、動きや仕草が変わっていることが客観的に理解できました。

松井 末満さんはどんなワードがそのキャストに響くか考えながら発言されているのですが、梅ちゃんに対しては『ベルサイユのばら』だったんです。それが梅ちゃんのなかでバッチリハマったのが側から見ていて分かったのが、すごく面白かったですね。

——ここからは、今作についてのお話をお伺いしていきます。演じる役への印象や演じる際に大事にしていたことを教えてください。

梅津 僕の場合は、『慈伝』の60公演のなかで変化していった部分もあると思っています。でも、そのなかで一番大事にしていたのは彼の“人間臭さ”。山姥切国広と出会うことで、カッコいいだけじゃない彼のいろいろな面が見えてきてすごく愛おしくなりました。

松井 亀甲貞宗は、僕が今まで演じたことがないタイプなんです。クセの強い性格ではあるのですが、そのなかにひとつの芯を持ち続けているキャラクターですよね。でも、ゲームのなかでは他の刀剣男士との関係性が言及されてないですし、持ち主に関しても諸説あるので、末満さんが亀甲貞宗をどういうふうに演劇に落とし込んでくるのか、すごく楽しみでもあるんです。

——ビジュアル撮影はいかがでしたか?

梅津 約一年ぶりに衣裳を着たのですが、衣裳を着た瞬間に当時の思い出が蘇ってきて、不思議な気持ちになりました(笑)。勇歩さんと一緒にビジュアル撮影できたのも楽しかったです。

松井 『慈伝』ではアンダースタディだった僕が、刀剣男士として梅ちゃんと一緒に撮影をしているのが最初は慣れなくて、少し恥ずかしかったですね(笑)。

梅津 多分、キャストの中では一番最初に刀剣男士になった勇歩さんを見たので、「これが新しい刀剣男士か…!」と感慨深かったです。それに、本編の中でこの刀剣男士とどんなふうに絡めるのか楽しみになりました。

松井 梅ちゃんと一緒に撮影できたのは、すごく嬉しくてテンションが上がりましたね。それに、衣裳さんとメイクさんが、僕が上京して最初に出演した舞台と同じ方だったので、リラックスして臨むことができました。『慈伝』の頃から「刀剣男士になれたらいいね」という話をしていたので、「よかったなー!」って。衣裳もメイクも「任せろ!」という感じで細部まですごくこだわっていただいたので、安心感がありました。

 そのなかでも特に嬉しかったのが、自分の役名の小道具があること。『慈伝』では予備の木刀や番傘を使わせていただいていたのが、「亀甲貞宗」と書いてある小道具を見てテンション上がりました! だから、撮影中はずっとふわふわしていましたね(笑)。

——役らしいポーズはすぐにできましたか?

松井 『刀ステ』って、撮影時間が長いんです。まずはそれにびっくりしたのですが、それだけの時間をかけるなら相当な種類のポーズを考えておかなければ…と思って用意して臨んだのですが、早々にネタ切れになりました(笑)。

梅津 (笑)。

松井 顔見知りのスタッフさんたちに「あれ、どうしたの? 緊張してる?(笑)」って言われて余計緊張する、みたいな(笑)。ずっとあたふたしてましたね(笑)。

——お互いの印象はいかがですか?

梅津 僕の勇歩さんの印象は、めっちゃ柔軟な人だなって。稽古のときに「ちょっとやってみて」と言われた役をスッとやってしまうんです。さらに、そこにプラスアルファを加えてくる。それが本当にすごいと思いましたし、僕も見習わなければと思っています。あとは、落ち着いた大人な人。それに、僕らのことを暖かく見守ってくださる優しさの塊のような人だと思います。

——松井さんは、アンダースタディをやるうえで意識していたことはありますか?

松井 僕はまさかこれだけの人数のアンダースタディをひとりでやることになるとは思っていなかったのですが(笑)、年齢的に僕より下の役者さんが多かったので、「なんとしてもやり切らないと!」と覚悟を決めて臨んでいました。

 そこでまずは、過去作のDVDをお借りしてマネをすることから始めたんです。例えば、僕がまっきーさんの代わりに山姥切国広をやるとしたら、他のキャストの方々はまっきーさんの山姥切国広とずっと一緒にやってきているので、“まっきーさんが作り上げた山姥切国広”のマネをしないと、相手役の方がやり辛くなってしまうんです。なので、声の出し方とか芝居の仕方は一旦二の次にして、本役の方が演じてこられた芝居を学ぶということを大事にしていました。

——それを全キャラ分やるのは相当大変そうです。

松井 ヒィヒィ言ってました(笑)。

——松井さんから梅津さんへの印象はいかがでしょうか。

松井 梅ちゃんの第一印象は、とにかく真面目でお芝居に対して真摯な子。そして、その第一印象から変わることなく、ずっと同じ姿勢を貫いていると思います。僕は、『慈伝』の東京公演初日を観たあと、東京凱旋公演も観させていただいたんですよ。長い公演だとどうしても気が緩んでしまうことがあると思うのですが、東京公演から東京凱旋公演まで変わることなく真面目に芝居に取り組んでいる様子や、自信がついた様子が伝わってき
て、「すごいなぁ…!」と思いました。なんというか、母親目線なんです(笑)。そういう真っ直ぐな姿勢は、本当に尊敬できます。

——梅津さんのほうで公演中意識されていたことはあったのですか?

梅津 長い公演の場合は、モチベーションを保つために目標を持たないと走り抜けられないと思っているので、常に「昨日の公演よりもっといいものをお届けしたい!」と考えていました。考えたところで芝居に正解があるわけではないのですが、それでも考えることをやめてはいけないんだ、って。

 初日は余裕がなかったのですが、「これが自分の芝居の芯だ!」と掴んだあとは、山姥切長義としても、役者としても、ゆとりを持って芝居することができたと思っています。その意味で、感情の振れ幅は公演を追うごとに広くなっていったのかな、と。

——では、お互いに何か質問してみたいことはありますか?

松井 えーと…昨日何食べた?(笑)

梅津 昨日は、トマトソースパスタと、パクチーの生春巻きと…。

松井 オシャレ! 梅ちゃんの真面目なところってこういうとこで、全部ちゃんと真面目に答えてくれるんですよ(笑)。そういうところがほんとに好きで。

梅津 本当はもっとウィットに富んだ返しをしたいんですけど…。

松井 (笑)。

梅津 稽古がどういう状況で行われるかも分からないのですが、もしお会いできることがあればぜひ一緒にご飯に行きたくて…。

松井 もうご飯いっぱい行こ? 俺、今回稽古場で知り合いなのが梅ちゃんだけだから。

梅津 僕も、わだっくま(和田琢磨)さん以外は初対面なので、勇歩さんがいてくださるのがめちゃくちゃ心強いんですよ…!

——ありがとうございました。最後に、公演を楽しみにしている読者へメッセージを!

梅津 僕自身、久しぶりに山姥切長義に会えることを楽しみにしています。『慈伝』から『維伝』を通し、『刀ステ』の本丸に何が起こっているのか…そして今回は科白劇ということで、『刀ステ』の新たな可能性が生まれる瞬間に立ち会えるのがすごく嬉しくて。自分が、その現場でどういう表現ができるのか、今からワクワクしています。

 皆さんも舞台が観たくて仕方ない時期になっていると思うので、僕たちでその思いを昇華させられたら、と思っています。

松井 憧れていた作品に刀剣男士として足を踏み入れることができるので、僕自身本当に楽しみにしています。「科白劇」とは一体どういう演劇になるのか僕もまだ分からないのですが、100%面白いものになるのは間違いないです! ハードルは高いですがそれを越えていきたいですし、新しい刀剣男士ならではの新たな風を吹かせて行きたいです。この状況のなか公演まで漕ぎつけてくれたスタッフさんの思いを大事にして、食らいついていきたいと思っています。

作品詳細

■科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶

日程:7月16日〜8月2日/品川プリンスホテル ステラボール、8月4日〜9日/日本青年館ホール ※8月9日17:00~の千秋楽公演はライブ配信が決定!絶賛予約販売中!

原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本・演出:末満健一
主催:ニトロプラス/マーベラス/東宝/DMM GAMES

【CAST】
歌仙兼定=和田琢磨
山姥切長義=梅津瑞樹
にっかり青江=佐野真白
亀甲貞宗=松井勇歩
獅子王=伊崎龍次郎
篭手切江=大見拓土
古今伝授の太刀=塚本凌生
地蔵行平=星元裕月
大友宗麟=三浦浩一
細川忠興=早乙女じょうじ
黒田孝高=山浦 徹
高山右近=黒川恭佑
小西行長=堀田 勝
大村純忠=石原正一
有馬晴信=船木政秀
細川ガラシャ=七海ひろき
講談師=神田山緑

公式サイト:https://stage-toukenranbu.jp/
公式Twitter:@stage_touken

© 舞台『刀剣乱舞』製作委員会 © 2015-2020 DMM GAMES/Nitroplus

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