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「たーのしー!」”フレンズ語”覚えてる?『けもフレ』『DYNAMIC CHORD』『活撃 刀剣乱舞』など平成のアニメを振り替える『平成アニメ備忘録』第29回
2020.08.01 <PASH! PLUS>
PASH! PLUS
平成30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成29年(2017年)のアニメを振り返ります。
この年は、競技クイズを題材とし初心者でも楽しめるクイズが盛り込まれた『ナナマルサンバツ』、バンドマンたちのライブシーンは必見!原作とは違った角度で楽しめる『DYNAMIC CHORD』、宝石の身体を持つ人型生物たちの脆くも美しい姿を描いた『宝石の国』、王子たちに教育的指導!ハチャメチャな王子たちがクセになる『王室教師ハイネ』、美少女たちの恍惚な表情にぐっとくる『賭ケグルイ』が登場。
また、“記憶保持”と“リセット”能力を持つ少年少女の日々を描いた『サクラダリセット』、十二支になぞらえた戦士たちの殺し殺される物語『十二大戦』、文明が崩壊した世界。2人の少女の終末感漂うもほのぼのとした日常に癒される『少女終末旅行』、ケンタウロスや竜人たちの学園生活を描いた『セントールの悩み』。
世界中の“奇跡”を調査する天才神父コンビの事件簿『バチカン奇跡調査官』、ヘタレヤンキーと“熊殺し”の異名を持つ教師の憧れ以上の気持ちを描いた『ひとりじめマイヒーロー』、社交ダンス界の美しさと激しさの両面を描いた『ボールルームへようこそ』なども放送されました。
今回は、数ある平成29年に放送されたTVアニメのうち4作をご紹介します!
可能性は誰にだってある! “理由あって”アイドルになった男性アイドルを描いた『アイドルマスター SideM』
『アイドルマスター SideM』は、『アイドルマスター』シリーズ初の男性アイドルをプロデュースする同名ゲームを原作とするTVアニメ。2017年にアニメ化され、2018年にはミニキャラになった登場キャラクターたちを描いたミニアニメ『訳あってMini!(ワケミニ)』が放送されました。
本作は、さまざまな理由でアイドルに転職し、“315プロダクション(315プロ)に所属した”男性アイドルたちを描いた物語。『アイドルマスター』元961プロに所属していた有名アイドル“Jupiter”、元弁護士・元医者・元パイロットからなる“DRAMATIC STARS”、元バイト仲間(御曹司・某国の王子・元ヤン)からなる“Beit”。
このほか、元プロサッカー選手の双子ユニット“W”、高校の軽音部のメンバーで結成された“High×Joker”、元教師(数学・英語・化学)で構成された“S.E.M”などなど……元々はアイドルとは関係ない職業(といっても『Mマス』を見ているとアイドルと関係ないものなどないことを知るのですが)で働いていた男性たちが“理由あって”アイドルに転身。輝くステージに向けて歩き出す姿が描かれています。
アイドルといえば10~20代程の若い男性が歌って踊るイメージがあると思うのですが、『Mマス』に登場するアイドルたちは元々別の職業についていたこともあり、アイドル的に見ると高齢にあたる人も。
例えば元教師ユニット“S.E.M”のリーダー・硲 道夫は、32歳にしてアイドルを目指すことを決意し、教師を辞めることを決意します(第5話)。年齢、教師という安定した職業の道を断念してまでアイドルを目指すことは決して容易なことではありません。しかし、硲さんは働いてた学校の文化祭でステージを披露した“Jupiter”の姿を見て、“生徒たちに夢を与え、勉強への意欲を芽生えさせるため”にアイドルを目指すことを決意するのです。
第5話ではS.E.Mがなぜアイドルになったのかが描かれた話数なのですが、ここで「夢を目指すのに年齢は関係ない」というメッセージが描かれています。“S.E.M”だけでなく、『Mマス』に登場するアイドルたちは、“夢を目指すこと”や“自らの可能性”に対する答えを提示してくれます。
また、TVアニメ『Mマス』は、アニメより先に声優陣によるリアルライブが先行して行われているのですが、そのライブネタがアニメに“逆輸入”される形で盛り込まれることもあり、ライブを知っている人にとっては「まさかこれは……!」と感動を与えられ、ライブを知らない人はアニメをきっかけにライブ映像を楽しむことができるのも魅力。一石二鳥ってやつですね!
劇中で登場する楽曲はどれも魅力的なので、まずは楽曲シーンから導入してみるのもいいかもしれません。まだTVアニメを見たことがない方は、OP『Reason!!』で輝きを感じてほしい。冒頭で水面から星をすくい上げるシーンがもう美しいです(~50秒くらいまでに各ユニットのざっくりとした関係性を知ることができるよ)。
すごーい! 大らかさと多様性の大切さを教えてくれた『けものフレンズ』
『けものフレンズ』は、“けものフレンズプロジェクト”による同名タイトルを原作とするTVアニメ。2017年に第1期が放送され、この1月からは第2期が放送開始。
本作は、動物が人間の姿をした“フレンズ”と呼ばれる少女たちが暮らすサファリパーク型動物園“ジャパリパーク”を舞台に、パークに迷いこんだ記憶喪失の少女・かばんとサーバルキャットの“サーバル”が出会い、パーク内で暮らすフレンズたちの助けを借りながら、かばんの正体を探る物語。
広大なジャパリパーク内を冒険し、様々なフレンズたちの助言を得ながら進む姿はまるで冒険のようであり、可愛いフレンズたちが“かばん”のために頑張る姿はまるで『はじめてのおつかい』のようでもあります。応援したくなる。
毎週火曜の深夜、可愛くも癒しを与えてくれる『けものフレンズ』は大流行を巻き起こし、「たーのしー!」、「すごーい!」、「君は●●のフレンズなんだね!」といった劇中のセリフを数多の場所で見かけました。
その影響はすさまじく、絶対『けものフレンズ』見たことないであろう飲み屋のおじさんも「『けものフレンズ』知ってるわ。「“すごーい!”だろ?」とセリフを使いこなしているくらいでした。「すごーい!」しか知らなかったけれど、アニメなんだからそれくらいフラットに楽しんでもいいよなぁと思わされた2017年の出来事でした。かなり余談です。
『けものフレンズ』は、独特のゆる~い雰囲気がありゆる~い気持ちで見ることができるのが魅力。また、“ヒトは絶滅した”、“フレンズの天敵であるセルリアンの存在”など世界観の設定に余白があり考察の余地があるので、考えながらアニメを見るのが好きな人の楽しみもあります。
さらに、主題歌『ようこそジャパリパークへ』のなかで「けものはいても、のけものはいない」と歌われているほか、「へーきへーき! フレンズによって得意なこと違うから!(サーバル)」といった多様性を認めるメッセージも素敵。様々なフレンズが共に暮らす“ジャパリパーク”での暮らしを見ていると、現代社会にもまれて生きる大人はもっと大らかに生きてもいいのかもしれないと考えさせられました。
筆者的には「美味しいものを食べてこその人生なのです!(博士)」が1番の名言。これぞ人生!
動乱の時代、史実の志士たちの姿。大河ドラマのようなクオリティーに圧倒された『活撃 刀剣乱舞』
『活撃 刀剣乱舞』は、オンラインゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』を題材としたTVアニメ。『刀剣乱舞-花丸-』に続くアニメ化作品で、原作ゲームからキャストは続投となっています。2017年にTVアニメ化され、最終回にて劇場版の制作が発表されています。
本作は、本丸での日常生活を四季折々の出来事と合わせて描いた『花丸』とは異なり、史実をまじえた本格剣戟アクションを展開。アニメーション制作を『Fate』シリーズを手掛けていることで有名な“ufotable”が担当しており、アクションシーンの格好良い&美しいことでも話題になりました。
『Fate』シリーズに馴染みがあり、『活撃 刀剣乱舞』をまだ見たことがない人はぜひ見てほしい。“ufotable”が手掛ける作品に間違いはない!
本作では和泉守兼定、陸奥守吉行、堀川国広、薬研藤四郎、蜻蛉切、鶴丸国永の六振りで構成された第二部隊を中心に、第7話からは山姥切国広、三日月宗近、骨喰藤四郎、大典太光世、髭切、膝丸ら第一部隊のエピソードも描かれています。
物語の舞台は文久三年の幕末。刀剣男士たちは、歴史を変えようと未来から送り込まれる“時間遡行軍”を打倒し、“正しい歴史”を守ることを使命に駆け抜けます。「勝海舟と西郷隆盛の会談を歴史通りに終わらせること」、「寺田屋事件への介入を阻止すること」など史実にのっとった使命を遂行する刀剣男士たち。
坂本龍馬や土方歳三といった歴史上の人物が登場するシーンもあり、歴史を知る人なら心動くはず。本作では、時代考証としてNHK大河ドラマ『新選組!』や『龍馬伝』などの時代考証を担当した山村竜也さんがスタッフとして参加するなど、“大河ドラマ”ばりのクオリティーでストーリーが展開されていきます。これは余談ですが、2018年には「時代劇専門チャンネルで放送してほしい」との声が高まり、同チャンネルで再放送も行われました。
本作はアクションシーンはもちろんのこと、登場キャラクターたちの心の動きの機微も見どころ。動乱の時代が描かれるなか、歴史の大局に影響しない小規模な歴史改変が発生し、市民が犠牲になる凄惨な出来事に刀剣男士たちが「本当に歴史を守れているのか?」と自問することがあれば、時には元の持ち主(主)と遭遇することもあり、「主を死なせたくない」という思いと「“正しい歴史”を守らなければならない」との思いに板挟みになることもあります。
そうした心の動きに美しさを感じてしまうとともに、彼らがどのようにして“正しい歴史”を守るのか、最後までハラハラと楽しむことができます。
平成29年の日本はどうだった?
ちなみに平成29年の日本では、「インスタ映え」、「忖度」が流行語大賞を受賞。この年、インスタ映えを意識した食べ物やアイテム、建物がたくさん生まれましたよね。映える写真の撮り方が分からないので今年こそ映える写真を撮れるようになります。
また、史上最年少プロ棋士の藤井聡太四段(当時)が29連戦を達成、“ひふみん”の愛称で知られる加藤一二三九段が現役を引退、羽生善治棋聖が史上初の“永世七冠”を達成するなど将棋界で様々な記録が生まれ注目されました。
次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに! ついに最終回!
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