『鬼滅の刃』魘夢の血鬼術“夢”から逃げ出すことは可能なのか？

　劇場版『鬼滅の刃』無限列車編は10月16日に公開されるやいなや、初週の土日2日間で動員250万9986人、興業収入33億5439万2750円を記録。この成績は、日本国内で公開された映画の、これまでの土日2日間の動員・興業収入歴代記録の約2倍という驚異的な数字となります。

　ちなみに、公開初日の動員91万507人、興業収入12億6872万4700円という数字は、平日に日本国内で公開された映画の動員・興業収入でも歴代1位の成績となりました。

　筆者もさっそく映画館で堪能してきました！　大画面で見るufotableの映像美、そして主人公・炭治郎や煉獄さんの激闘に心震えたのですが…そんななかで、ふと疑問が浮かびました。

　作中、炭治郎は鬼・魘夢（えんむ）の使う血鬼術で“夢”に翻弄されるのですが、夢を見ている人間は、炭治郎のように夢の中で自分自身をコントロールすることは可能なのでしょうか？

　以下にて、その方法を調べてみました！

※以下、劇場版『鬼滅の刃』無限列車編のネタバレを含みますのでご注意ください。

そもそも“夢”とは一体なんなのか？

　劇場版に登場する鬼・魘夢とは、鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の一人「眠り鬼」。「下弦の壱」という序列を与えられた洋装の青年の姿の鬼で、左目には「下壱」の文字が刻まれています。

　そんな魘夢が使う血鬼術“夢”は、相手を眠らせ、意のままの夢を見せるという能力。この術に囚われた相手は身体を動かすことができなくなります。しかし、柱のように優れた鬼狩りは、殺気を感知するなどして術を破ることがあるそうで、用心深い魘夢は自身では決して手を汚そうとせず、後述の刺客を使い相手を廃人にした上で、肉体を殺害するのを常の手口としています。

　そもそも、人が見る夢とは一体何なのでしょうか？　

　睡眠の段階には、体は休息状態だが脳は活動している浅い眠りのレム睡眠（急速眼球運動睡眠）と、脳が休止している深い眠りのノンレム睡眠（徐波睡眠）があり、夢はレム睡眠中に見ると言われてますが、最近の研究ではノンレム睡眠中にも夢を見る場合があることが確認されています。

　レム睡眠で夢を見ると目覚めて記憶が残っていますが、ノンレム睡眠で見る夢は目覚めても記憶に残ってないことが多いそう。

　ということは、魘夢の血気術はレム睡眠を掛けて夢を見せているということになります。

米ハーバード大学の名誉教授アラン・ホブソン氏らが1977年に発表した研究によると、レム睡眠の状態になると、外からの情報が脳へ伝わることはないですが、記憶に関連する脳の部位は活発に動いているとのこと。その際に、一過性の興奮刺激によって、長期記憶から夢のパーツとなる情報が取り出され、それが合成されることで夢が生成されるのではないかと発表されていました。

　つまり魘夢は他人の記憶をも覗けるということですね。さすが下弦の壱。しかし、そんな強力な血鬼術を、炭治郎は打ち破ります。

人間は夢の中で自分をコントロールできるのか!?

　ここからは、実際に夢の中で自分自身をコントロールすることができるのかを調べていきます。

　2017年に豪アデレード大学の研究チームが、夢を見ているときにそれが夢であると認識できる「明晰夢」の状況を意図的に作り出す方法を発見したと発表しました。そうすることで、夢を見ている人自身が、ランダムに生成された夢の世界をある程度コントロールできるということでした。

　アデレード大学の研究は、より効果的な明晰夢の誘発を可能とする技術を開発できたとしており、研究ではMILD（mnemonic induction of lucid dreams）という方法が用いられました。

　これは、被験者を1日に数回、夢を見ている状態かの確認を行いながら、5時間の睡眠の後に短時間だけ目を覚ましてまた眠りにつかせるというもの。そうすると夢が発生する可能性が高くなるそうです。

　眠りに戻る前に見ていた夢の内容を憶えておき、また睡眠へと戻る。その際は、自分が夢を見ていたのだと意識しておく。そうすることで、夢の中に戻ってもそれが夢であることを自覚でき、ある程度その内容をコントロールできるようになる、という結果が出ていました。

　この方法を取れば、実質夢をコントロールできるということになります。

炭治郎や煉獄さんの“夢”の中は…劇場でチェックして！

　以上を見ると、やはり夢を自分自身でコントロールというのは相当な精神力を必要とするようですね。

　魘夢の血鬼術で40名以上の乗客が犠牲になり、数名の隊士が敗れているのを考えると、討伐には柱である煉獄さんをはじめ、炭治郎（＋禰豆子）、伊之助、善逸という精神力が強いメンバーが適任であったと思われます。

　それぞれの夢も、少し…いやかなり衝撃的。これはぜひ劇場の大スクリーンで観ていただきたいです。

参考文献及び資料
映画【劇場版　鬼滅の刃　無限列車編】
ピクシブ百科辞典【魘夢】
アニメハック【週末アニメ映画ランキング】
パッシュプラス
ジャンプコミックス【煉獄零巻】
DPlay【夢の不思議な仕組み】
ナショジオ【睡眠】夢はレム睡眠のときに見るのウソ

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。

文・内海　健（よしもとライターズアカデミーウエスト）

※画像は『鬼滅の刃』公式サイトより

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