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羽多野 渉・独占インタビュー! 新境地!『ユーリ!!! on ICE』EDテーマ「You Only Live Once」 

2016.10.19 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

むしろ泥くさいところから、きらびやかな世界を目指すイメージ

 

  10月5日にテレビ朝日にて放送開始したTVアニメ『ユーリ!!! on ICE』。男子フィギュアスケートの華麗な世界を熱く描き、新たなスポーツアニメの扉を開く作品として話題沸騰中! 作品中でギオルギー・ポポーヴィッチを演じる羽多野さんは、エンディングテーマ「You Only Live Once」も担当。エレクトリックでエキセントリック、耳に残るこの曲は羽多野さんにとっても新境地だったそう。その制作秘話をうかがいました。

 

──「You Only Live Once」を聞いたとき、まずエレクトリックなこの曲に歌声がついていることに驚きました。

 僕もデモを聞いたとき、「これ、インストゥルメンタル(歌のない楽曲)でも成り立つんじゃ?」って思いました(笑)。デモ段階で音声加工された仮歌が入っていたので、完成形がどうなるかは想像できました。「羽多野さんの声を加工して、楽曲となじませていきます」と説明されて、「じゃあ、それを表現するために、ボーカルはどう歌ったらいいんだろう」と完成形から逆算で考えました。

 

──難しいと思われたところはありますか?

 この曲を収録するまで気づいてなかったのですが、声優という仕事柄もあってか、どうしても個性を盛ってしまうクセがあったようなんです。自分としてはストレートに歌っているつもりでも、羽多野渉らしさみたいなものがすごくあったらしくて、それがいい効果をもたらすこともあれば、あとあと楽曲として仕上げるときに邪魔になることもあるんですね。「最後の音の伸びは歌いグセとしてはいいんですけど、あとのエディット(音声編集)のためにコンパクトにしてください」とか、「ビブラート、少なめにしてください」とか、ディレクターさんとやり取りを重ねながら丁寧に録っていただきました。言わば「個性のコントロール」を学ばせてもらって、刺激的でした。

 歌い方もこれまでとまったく違ってるんですよ。『ユーリ!!! on ICE』という作品が放つ光や、氷の冷たさや透明感、フィギュアスケートの飛翔感や浮遊感をイメージして、歌声に空気感をもたせました。ほとんど息に近いくらいに。マシン加工を経たら、音の異次元空間みたいになってました(笑)。 

 

──かなり加工されているのですが、肉声ならではの音の厚みや生々しさを感じるところ、ボーカロイドなどの電子音声によるエレクトロニカとはまた違う趣を感じました。

  この曲は僕にとって新しいチャレンジだったのですが、声優をやっていてよかったというか、声優が歌うべき歌に出会えたと思った瞬間があったんです。レコーディングでは、僕の地声とそれより1オクターブほど高い裏声(ファルセット)と1オクターブほど低い声で同じ箇所を何回も歌って重ねていったんです。声が重なっているところは別の方のコーラスではなく、全部僕の声なんですよ。音声トラックすべてに羽多野渉の声という素材を使ってもらえたことに、自分の中で「あ、よかった」とストンとくるものがありました。

 声優として大柄で低く響く声のキャラクターや細身で甲高い声のキャラクターなど、いろいろな役に挑戦させていただき、そのたびに広がってきた声による表現幅という武器。それは、音楽活動でも生かせる場があったんだな、と。「You Only Live Once」の最初、加工されたいろいろな声が聞こえてくるところなど、何テイクも何テイクも録ったものを、後からディレクターさんが重ねて作られたんです。イメージどおりにできたとすごく喜んでくださいました。

 

──『ユーリ!!! on ICE』には熱く切磋琢磨するスポーツものというイメージがあったのですが、「You Only Live Once」を聞いてきらびやかな部分も描かれるんだな、と思いました。

  どうでしょう。むしろ泥くさいところから、きらびやかな世界を目指すイメージと言ったほうがいいかもしれません。この曲は特定のキャラクターの気持ちを歌ったものではないのですが、フィギュアスケートの世界ではおそらく誰もがライトアップされたキラキラした場所を目指していると思うんです。その目指す場所の裏側に、『ユーリ!!! on ICE』に描かれる、ちょっと泥くさい部分がある。だから、彼らの未来を暗示して、「来週も観たいな」と感じさせるようなエンディングテーマだな、なんて、仕上がったものを聞いて改めて思いました。

 

──完成したものを聞かれて、いかがでしたか?

  この曲は僕がこれまで歌ったどの曲よりも高いキーがずっと続いていて、地声がちょっと低めの僕の場合、なかなか大変でした。でも、そうしたことで、エア感や透明感が表現できたのではないかと個人的には思っています。最初と最後の「オー、オーオオオオ♪」のところとか、全部裏声です。

 

──裏声で1曲通しって歌えるものなのですか?

  僕、子どもの頃から裏声出して遊ぶのが好きだったみたいで(笑)、そんなに大変なことではないんです。以前出した「Synchronic」(5thシングル「覚醒のAir」収録)も同じような手法で、オクターブ違いの自分のボイスを後で重ねて仕上げていただいたのですが、今回は自分の音域をフルに生かせる楽曲だったので、そこは音楽プロデューサーの冨永(恵介)さんにとても感謝しています。

 
次ページ レコーディングで一番苦労したこととは? さらに、本作で演じるポポーヴィッチについても語る!

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