interview
『崩壊:スターレイル』アベンチュリン役・河西健吾さんインタビュー
2024.11.12 <PASH! PLUS>
PASH! PLUS
HoYoverseが配信中のスペースファンタジーRPG『崩壊:スターレイル(スタレ)』で、明日11月13日よりアベンチュリンのイベント跳躍が復刻開催されます。これを記念して、PASH!7月号に掲載したキャストインタビューの一部をお届けします。
※本記事は2024/6/10発売「PASH!7月号」にて掲載したインタビューより、一部内容を抜粋したものになります。
成し遂げたい願いのために本心を隠しているけれど…
――アベンチュリンについて、初めて資料などをご覧になった際はどのような印象を抱きましたか?
確か最初に見たのはアベンチュリンの立ち絵だったんですけど、そこから僕は「陽キャなんだろうな~」という印象を受けましたね。すごく人生を謳歌していそうだなと感じました。
――一方、内面を知ったときは?
飄々としているように見せかけて実際は重めな過去を持っているからこそ、「彼はどっちが“本人”なんだろう?」と思いました。二面性を感じさせられるキャラクターですよね。あとアベンチュリンって、すごく距離を詰めてくるじゃないですか。言葉巧みにどんどん相手の懐に入り込んでいき、気付いたら隣にいるんです。なのでミステリアスさもちょっと持ち合わせているのかなと。
――アベンチュリンを演じる際に意識されていることはありますか?
つねに余裕を持ちながらセリフを読むようにしています。シーンによっては余裕をなくしたような、普段のアベンチュリンっぽくない一面も出てきますが、どんな状況においても余裕ある素振りを見せたくて。なるべくゆったりとしたセリフ回しを心掛けていますね。
▲つねに笑顔を絶やさないアベンチュリン。軽薄な雰囲気と他者から「孔雀のよう」と評される身なりは、彼の本心を覆い隠している。
――Ver.2.1ではアベンチュリンにスポットが当たり、彼の“過去”や“内に秘めた思い”が描写されましたね。
幼い頃から今に至るまで、いろいろと辛い経験をしていましたね…。でも彼は世界を恨んでいいはずなのに、明るく振る舞っていて。重い過去があるのを感じさせないような雰囲気を醸し出していると思うんです。ただ全部を紐解いていくと、自分が成し遂げたい願いのために本心を隠して“仮面”を被っているといいますか。あえて明るく見せているのかな?と個人的には感じました。
――彼の幼少期のエピソードを改めて振り返っていただけますか?
良くも悪くも子供の頃って家族が世界の中心といいますか、一番影響を受ける存在だと思うんです。そのうえでアベンチュリンは地母神の祝福を受けた子供であると家族から期待されていて。だからこそ家族が亡くなったあと、「じゃあ何で自分たちが苦しいときに地母神は助けてくれないの?」と疑問を抱いたのではないかなと。祝福や祈りが呪いのようになってしまっていて、今もずっと苦しんでいるように感じました。そう思うと胸が苦しくなります…。
▲荒廃した星「ツガンニヤ-IV」。この地のエヴィキン人が地母神を祭る「カカワの日」に、アベンチュリンは生を受けた。同時に神の恵みの雨が大地に降り注ぎ、人々にはまるで地母神が彼の誕生を祝っているかのように思えたのだ。そして赤子は地母神に祝福された子――カカワーシャと名付けられた。
▲エヴィキン人は当時、対立するカティカ人との争いで多くの氏族が命を落としていた。人々はカカワーシャの幸運を地母神の祝福だと信じていたが、この幸運が地母神の恵みというのなら、本当に地母神が見守ってくれているのなら、何故自分たちを助けてくれないのだろうか? 少年は疑問を抱く。
▲「カカワの日」に再び恵みの雨が降ったとき、カカワーシャの姉を含むエヴィキン人たちはカティカ人に抵抗するために立ち上がった。しかし皆が命を落とし、幸運な少年ただひとりだけとなってしまう。一族が皆命を落とした日は、奇しくもその少年の誕生日だった。神の悪戯とも思えるほどの身に余る幸運は、カカワーシャを生かしても彼の周りの人々は守ってくれない。そのとき彼は何を思ったのだろうか…。
「恐怖心がありつつも前に進んでいくアベンチュリンは強い人だなと思います」
――家族を全員失ったあと、奴隷として買われてしまうのも悲惨な出来事だったのかなと。
そのときのアベンチュリンは、今とは少し違う雰囲気がありましたよね。彼は自分を買い取った奴隷商人(=冷たい男性)に賭けを申し込んでいて。下手をしたら「こんなことを言うヤツは要らない!」と処分されてしまいかねないけれど、生き残るために自分が唯一持つ“命”というチップを握りしめて勝負をしてくれと言う。アベンチュリンは選択を強いられたときに、おそらく逃げ出さず立ち向かっていくタイプのキャラクター。諦めずに抗おうとする姿が、個人的にはすごく好きです。
――そんな過去を経たアベンチュリンですが、勝負の際には震える片手を隠していたことも発覚しましたよね。
舞台に立つ瞬間って誰しもが緊張するだろうし、「怖いな」とか「失敗したらどうすれば良いんだろう」とか不安になると思うんです。そして多分、アベンチュリンも同じ感じなのかなと。彼の場合は下手をすれば死んでしまう可能性もある。恐怖心はあるけれど、それを抱きつつ前へ進んでいくところを見ていると、彼は本当に強い人だなという印象を受けます。
▲凄惨な過去を経てもアベンチュリンは世界を恨むことがなく、善性を失わなかった。ピノコニーでの作戦においても人々が犠牲にならないように努め、夢の中における「死」の検証を自ら行っている。
――Ver.2.1の後半ではカカワーシャ…つまりは過去の自分と邂逅するシーンもありました。そのあたりのアベンチュリンはどんな気持ちを抱いていたと思いますか?
個人的に、このシーンのカカワーシャは“すごく純粋な子”という印象を受けました。このときのアベンチュリンはサンデーの洗礼に苦しめられていて、さらに今後のことを考えるなかで、どんどん苦しい状況に追い詰められていく。そんななかで、カカワーシャ(=一番純粋だった頃の自分)を見たときに、そういえば自分もこの頃は純粋だったなと実感する瞬間があって。それが後々、開拓者に予約送信したメッセージにも繋がっているような気がします。そこではアベンチュリンが「もしすべてがうまくいけば、また会えるかもしれない」と開拓者に伝えるんですけど、過去の自分との邂逅があったからこそ言葉どおりの意味として受け取れたのかなと。
今回アベンチュリンが自分と向き合えたことにより、次は強敵としてなのか友人としてなのかは分からないですが、“強い存在”として今後のストーリーで出てきてくれそうだなという未来を感じました。
――ほかにも印象に残っているシーンやセリフはありますか?
アベンチュリンとレイシオの掛け合いですかね。レイシオは堅物な教授というイメージがありまして、すごく頭が良いし運とか信じていなさそうだから、正直なところ何故アベンチュリンとつるんでいるんだろう?と思っていたんですよ。最初はただ利害が一致している関係なのかなと考えていました。
でもふたりの会話を見ていると、地頭が良いのにあえておちゃらけているアベンチュリンに「そういうことを言うから…」という感じで、レイシオの面倒見の良さが出ているときがあって。アベンチュリンは何かあったときに教授(=レイシオ)に助けを求めるし、レイシオがそれを無下にせずにアベンチュリンを助けてもいましたよね。だからふたりは良い関係を築いているといいますか、実は良い友人なのかなと感じました。
ほかにもふたりが出てくるシーンですと、サンデーにしてやられたところで、アベンチュリンがレイシオのほうを見ながら「レイシオ、この野郎……」と言うところが印象深いです。分かりやすく顔を逸らされたから「教授~!」と思ってしまいました(笑)。そのあたりはアベンチュリンが唯一劣勢に立たされたように感じる場面でしたよね。つねに余裕のあるアベンチュリンの“仮面”を剥いだときの素の感情をどこまで出せるのか?というところでもありましたから、演じていて楽しかったです。
――改めて、アベンチュリンとスターピースカンパニーに所属している人々の関係性について感じていることを語っていただけますか?
音声だけですが、初登場時に最初に会話をしたのがトパーズで、彼女は軽口を叩けるくらい近しい同僚という印象があります。あとはジェイドもそうなんですけど、自分の命よりも大切な基石を預けているところから、アベンチュリンはかなり信頼されているとうかがえます。ダイヤモンドに関してはまだ深掘りされていませんけど、恩人ですから、アベンチュリンは彼のことを信頼しているのではないでしょうか。だから「十の石心」はまだ全員登場していませんけど、(戦略投資部は)悪くない環境なのかなと勝手にイメージしています(笑)。
ただそんななかで、オパールはアベンチュリンを信頼していなくて。実は一枚岩ではないところもあるのかも。そしてそれすらもアベンチュリンは楽しんでいそうです。
――最後に開拓者の皆さんにメッセージをお願いします。
メタ発言になってしまいますけど、皆さんの中にはアベンチュリンのガチャを引いてくださった方もいらっしゃるかと思います。もしまだ引いていないという方は、今後アベンチュリンが復刻した際に光円錐共々お迎えいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします!
▲「人はなぜ死ぬためだけに生まれてくるのか」。身近な人々の死を目の当たりにし、アベンチュリンは長きにわたり疑問を抱いていた。命をチップに危険な賭けをし続ける彼は死に恐怖を抱きながらも、同時に死の救済すらも求める矛盾の中に生きてきた。しかし答えを悟った彼は、自分はまだ生きなければならないと気付く。いつか家族のもとへ行くときに誇れる存在であれるように…。
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