『グラブル』の桃太郎ことネクタル。あるいは純愛についての話

2024.12.15 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 いよいよ2024年も12月、残りひと月を切りました。『グランブルーファンタジー(グラブル)』の展開は「グラブルフェス2024」にクリスマスにお正月に……とカレンダーを指折り数えてしまいそうなワクワクの時期! そんな中、本記事で紹介するのは、明日12月16日にSIDE STORYに追加される「OLD BOND」でも活躍しているネクタルです。

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▲SSレア[天門比翼]ネクタル(上限解放後)

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 シナリオイベント「灯幻連理双紙」にて、シンシャとともに多くの謎を抱えた状態で登場したネクタル。「OLD BOND」でも活躍を見せて、その後の9周年イベント「…and you.」では状況を打開する一手を担い、正体も明らかになったことで多くの騎空士(『グラブル』ユーザーの通称)に衝撃を与えました。

 その権能について考察のしがいがある彼ですが、本記事ではそれ以外の魅力も語ることができればと思います。

※本記事の内容は筆者による独自の解釈によるものです。Cygamesおよび『グランブルーファンタジー』開発チームの意見とは異なります。

キャラ紹介:ネクタル

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▲SSレア[天門比翼]ネクタル

年齢 ???歳
身長 ???cm
種族 ???
※ゲーム内での種族は「その他」となります。
趣味 これといってない
好き シンシャ
苦手 かつての自分を思い出そうとすること
声優 川原慶久
関連ストーリー 灯幻連理双紙
OLD BOND
…and you.

 

 かつて空の世界に在った死と生を隔てる楔。それは流れ流れて変容し、扉の娘の力を得て今ネクタルの名を名乗る。存在としての歪み在ろうとも、それすらも利用してネクタルは仲間たちを連れ桃源郷を目指すのだった。(ルリアノート登場人物紹介 SSレア[天門比翼]ネクタル より)

 陣羽織と鉢巻を纏い、刀を身に着け、3匹の獣の仲間…と、日本人なら「桃太郎だ!」と思わずにはいられない、精悍な顔つきの青年・ネクタル。その正体は、遥か昔に星の民から星晶獣への改造を受けた何らかの存在。改造が失敗し廃棄されたところを空の民に研究目的で鹵獲され、研究施設「青願堂」にて過酷な実験に晒されます。やがて記憶や姿形を全て忘れてしまった彼は、同じ境遇のシンシャたちと出会い、彼女たちとともに苦境の日々を過ごしていました。

 その「青願堂」がゴブリンプリンセス率いるゴブリンの軍団に襲撃され、逃げ出したネクタル達と、ゴブリンの討伐のためその島に居合わせたゴブリンハンターのルシウスと主人公たちが出会い……というのが彼の初登場となる「灯幻連理双紙」での出来事。

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 その後も「OLD BOND」に登場するなど、「間違いなくこの男には何かがある…!」という予感を裏切らぬ活躍を見せ、その秘密が明らかとなった今でも目が離せないキャラクターのひとりです。

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ネクタルの「桃太郎」らしさを考えてみる

 前述のとおり日本人には桃太郎を連想させる姿のネクタル。また、その境遇からかあまり表情の変化が大きくないように見えたり、会話においても己の感情を大きく見せることのないところなど、神話や物語の中にいる存在のような雰囲気も、そのイメージを補強しているのかもしれません。

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▲SSレア[廻天連理]ネクタル

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▲簡潔ながらトゲがなく、無駄がないのにしっかりと意思を感じる。そんな言動もネクタルの魅力のひとつです。

 その他にも、ネクタルたちを取り巻くエピソードでは、しばしばシンシャをはじめとした登場人物の語りが入ることも印象的で、そのような面からもおとぎ話という意味での「桃太郎っぽさ」を感じます。余談ですが、やさしい口調も見られる語りに反して彼らの物語は『グラブル』でも随一のダークでお労しいお話。具体的に「何が」行われているかまでは描写されていませんが、悲痛な叫び声や泣き声、ぐったりと疲れ切った様子から、彼らが受けた扱いを連想すると……「幸せになってくれ……!」と思わずお祈りしてしまいます。

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 ちなみに『グラブル』公式サイトの紹介を抜粋すると、この世界におけるゴブリンは一般には「小さき鬼」という扱いの模様。……「灯幻連理双紙」の描写では、ゴブリンプリンセスの当初の目的はネクタルたちではなかった模様ですが、何か因縁めいたものを深読みしてしまいそうです。

 一方で、現在彼が取っている姿自体も仮初のものであったり、シンシャに行った1回きりのものではあれど「自分の分け身を与えて欠損した体を補う」という能力を持っていたりと、やはり只者ではないという印象。「自分のものを分け与える」と表現すると桃太郎のきび団子……を連想できなくもないですが、やはり得体のしれない何かを感じる、どこかミステリアスな魅力がありますね。

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※1▲この場面だけではなんらかの怪異と誤解されかねないシンシャとのファーストインプレッションですが、それからの出来事は皆さんが知る通り。それだけに多くの騎空士がその正体について想像を膨らませました。

精神が形を作るのか、形に精神が宿るのか

 ネクタルが初めて人として触れ合った存在・シンシャは、言うまでもなく彼にとって大切な存在。もう一度行うことは難しいと発言する「自分の分け身を与える」という能力を使った相手も他ならぬ彼女です。彼女とのふれあいの中では、「体を治すネクタルがあればいいのに(彼女曰く、そのような効果がある伝承の飲み物とのこと)」という思いに応える形で前述の能力を行使し、「手を繋げたらいいなって思ったの」という言葉を受けて現在のヒトの姿に変質するなど、見方によってはシンシャの願いが我々の知るネクタルのベースを作ったとも考えられるのかもしれません。

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 「青願堂」での暮らしにて新たにクスキ、クシナ、ウグスが仲間になると、集団をまとめるようなよりヒトらしい態度を見せており、こちらも加味すると、周囲からの“こうあってほしい”という期待や思いを強く受けるタイプかもと想像が膨らむポイントです。

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※1▲群れのリーダー然とした行動に思えますが、その根底にあるのは絶対的ともいえるシンシャへの想いであることが伺えます。

 シンシャを守るということを命題としている彼は、「灯幻連理双紙」では自己犠牲の行動が目立った他、主人公の仲間になった直後のエピソードでは「自分を必要としてほしい」という心境を思わせるような発言も見られます。その境遇や性質から自分のことを道具と捉えて存在意義の消失を恐れているのかも……?

 しかし、ネクタルの感情は見方によっては嫉妬とも解釈でき、そのように見れば内面がさらにヒトに近づいた、あるいは平穏を手に入れたシンシャの新しい一面でさらに影響を受けたとも捉えられ、後々のネクタルにはどのような変化が起きるのか、一転して楽しみになってしまう部分でもあります。

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※2▲シンシャから失望されたり必要とされなくなったりすることを恐れているようにも見えますが……?

「カムヅミ」ではない「ネクタル」の自我

 「…and you.」でも重要なキャラクターのひとりとして活躍したネクタル。その中で、正体がかつての空の世界の理である楔「カムヅミ」であると明かされ、シンシャを通じて引き出した「涯て」の力によって全空の危機を救う重要な一手を担いました。

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 しかし、真名が明らかになったあとでも、同格存在である楔、六竜たちに対して彼が名乗ったのはシンシャからもらった「ネクタル」という名前。彼のプロフィールの苦手欄を見ると自分の過去にあまり良くない感情を持っていると伺えるのは確かですが、曇りのない返答には過去への忌避感よりも、大切な存在とともにいる現在とその先の未来を選択したという自我を感じます。

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 潰えた可能性の影響を受け暴走し、その状況を他ならぬシンシャに救われたことが彼の心境に何らかの変化を与えたことを想像させます。そして、その心境についての答えとも解釈できるのが「SSレア[天門比翼]ネクタル」のフェイトエピソード。

 オロロジャイアの暴走を治めたあとも、潰えた可能性から得た情報を処理し続けるネクタルが見たのは、今より悲惨な末路を辿ったり、逆に平穏で幸せな世界で過ごすシンシャの可能性でした。それを目にしたネクタルは「自分との出会いとシンシャの不幸は切り離せない」ことに気づいてしまいます。しかし、同時に抱いたのは「全てを引き換えにさせてでもシンシャと共に居たい」という強烈かつ純粋なエゴ(自己)。

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 「彼女に幸せであってほしい、でも彼女が不幸になるとしても共に在りたい」という二律背反を抱えた彼はシンシャに思いの丈を伝え、彼女の答えは……。いずれにせよ、シンシャと初めて出会った時には自らを「これ」と呼称するほどに自己の薄かったネクタルが、彼女と過ごす時間の中で愛という矛盾する感情を獲得するほどの自我を得たということは確かではないでしょうか。

純愛物語の供給求む。ネクタルの今後に期待!

 ネクタルについて、桃太郎っぽさや人となりについて語ってきたものの、その一番の魅力を論じるならば、それは謎に包まれた正体や世界を左右できそうな権能よりも、やはりシンシャとお互いをかけがえのない大切な存在だと思い合う純愛の描写が一番ではないでしょうか(なお、ふたりの恋愛感情については騎空士ごとに意見が分かれるところですが、フェディエルの判定によると「番」とのこと)。

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※4▲シンシャを大切に思うネクタルやふたりの姿に対する発言。少なくとも周囲からはそう見えている模様です。

 ふたりの純愛の物語という視点で振り返ってみれば、ネクタルはシンシャの平穏のために命を投げ出すことを厭わず、その伏線と解釈できるものは「灯幻連理双紙」から存在していました。

 その後の「自分を頼ってほしい、そのためにシンシャが弱くあってほしい」と思ってしまったことも親愛の裏返しと捉えられますし、自らを「カムヅミではないネクタル」と表明したル・オーとのやりとりも、かつての楔としてのアイデンティティよりシンシャを大事なものとして選んだことを宣言、それをカムヅミとしての過去と役目を知る存在である六竜が同意した……という、公開プロポーズのようにも映るのだから不思議です。

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※5▲ご褒美を求めるイーウィヤに少々辛辣な発言を返すネクタル。こういった部分にもシンシャの寵愛を受けるものへの嫉妬の感情を深読みしてしまう……!

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※5▲さりげない会話ですがネクタルのこと、権能のことを詳細に把握しているであろうル・オーが短く返すのも印象的です。

 また、本記事ではネクタルに焦点を絞って紹介してきましたが、実はシンシャ側からの感情もなかなかに大きめです。「仲間たちと桃源郷を目指す」という目的を抱き、仲間たちみんなを大切にしていることも確かですが、ネクタルが命の危機に瀕した際には「一緒なら空の底でも構わない」と胸中を告げて迷わず心中を選択したほど。

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※1▲直前のルリアの述懐を読むと、痛いほどに思いの丈が伝わる言葉です。

 カムヅミであったことを思い出したネクタルが自分から離れていってしまったらどうしよう、と思っていたり、本来は「楔として生きていく方が世界の為になる」かもと思ってもその手を離せないところは、まさに似たもの同士、といったところでしょうか。

 お互いに親愛の気持ちを伝えあい、フェディエルがけしかけた“でぇと”もむしろ堪能している姿は、もはや関係値としてはゴールしてしまっていると思えるほどですが、是が非でもふたりのこれからの関係について見守っていきたいところ……!

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※4▲ネクタルの物語についての結論とも感じられるフェイトエピソードの結び。過去の正体や秘められた権能よりもそれだけがあればいいと思える、大切な存在ができたのではないでしょうか。

※改めて、本記事の内容は筆者による独自の解釈によるものです。Cygamesおよび『グランブルーファンタジー』開発チームの意見とは異なります。

【注釈】
※1:シナリオイベント「灯幻連理双紙」より
※2:SSレア[廻天連理]ネクタル フェイトエピソードより
※3:シナリオイベント「OLD BOND」より
※4:SSレア[天門比翼]ネクタル フェイトエピソードより
※5:シナリオイベント「…and you.」より

※画像はゲーム画面のキャプチャーを含む。
『グランブルーファンタジー』公式サイト
『グランブルーファンタジー』公式X(旧Twitter)
(C) Cygames, Inc.

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