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“いちごパンツ”から始まる出会い『いちご100%』、女神ベルダンディーに憧れた『ああっ女神さまっ』など『平成アニメ備忘録』第17回
2018.11.05 <PASH! PLUS>
PASH! PLUS
平成が終わる前に30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成17年(2005年)のアニメを振り返ります。
この年は、アメリカンフットボール『アイシールド21』、ウサギのイヨ、クマのケンタ、パンダのイッサのドタバタ&ゆるい日常を描いた『アニマル横町』、ボンズ制作&”星の謎”を描いた『交響詩篇エウレカセブン』、豪華声優陣出演のBLゲームをアニメ化した『好きなものは好きだからしょうがない!!』、マイメロ&クロミの日常をファンシーに描いた『おねがいマイメロディ』が登場。
さらに、“炎髪灼眼の討ち手”という称号を持つ異能力者・シャナの闘いと恋を描いた『灼眼のシャナ』、土曜の夕方から残酷な描写&重厚な世界観が放送され話題になった『BLOOD+』、架空の観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台に観光案内人を目指す少女たちを描いた『ARIA The ANIMATION』などが放送されました。
今回は、数ある平成17年に放送されたTVアニメのうち4作をご紹介します!
「人を呪えば穴二つ」――因果応報が美しく・恐ろしく描かれた『地獄少女』
『地獄少女』は、2005年から2017年にかけて放送された伝奇・ホラー作品です。
深夜0時ちょうどになると、強い恨みを持つ者だけがアクセスできるウェブサイト“地獄通信”。サイト上で“地獄に流したい人の名前”を入力し送信ボタンを押すことで、地獄少女・閻魔あいと接触することが可能に。ここで正式に地獄少女に“地獄に流してほしい人物(ターゲット)”がいることを伝えると、ターゲットに恨みの内容に応じた恐怖を与える私刑“地獄流し”実行後、地獄へと流してもらうことができます(現世では死亡扱いになる)。
ターゲットの顔や名前、住所などが分からなくても地獄に流してもらえる“便利(と表現するのは正しいとはいえない気がしますが”な面がある一方、依頼人も死後は地獄に流されるという絶対順守の契約が結ばれる“代償”も存在します。
例えターゲットが命からがらに謝罪をしたとしても、地獄に送ったことで気持ちが晴れたとしても、事実無根の逆恨みだったとしても。地獄に送ってしまった以上、相応の罰を受けなければなりません。
法で裁けない相手を“私刑”という形で裁くことができたとしても、例えそれが依頼人やその周囲の人が救われるものであったとしても、呪いをかけた代償は自分に招かれる……本作ではこのことを「人を呪わば穴二つ」と称しており、呪われてしまうようなことをすれば因果応報で自らに帰ってくること、そして人の命を奪うことは決して簡単なことではないことを教えてくれました。
大胆な世界観&OPが強烈に印象に残った『創聖のアクエリオン』
『創世のアクエリオン』は、2005年に放送されたオリジナルアニメ。『マクロスシリーズ』でおなじみの、河森正治監督が手掛けており、楽曲は同じく『マクロス』や『攻殻機動隊』などを手掛けた菅野よう子さんが担当しています。
「あなたと合体したい」という大胆なキャッチフレーズや、「1万年と2千年前から愛してる」の歌詞で知られるOPテーマ、3体のロボット(およびパイロットの精神)が合体する“創世合体”の登場など、印象的なシーンや設定の数々が話題になりました。
なかでも、“創世合体”を始めてみた時はまだ小学生だったのですが、その描写の過激さ(?)に「き、気まずい……」と思ったことを覚えています。(ちなみに3体のロボット、3名のパイロットの心技体が合体する“創世合体”を行うと、アドレナリンが過剰に分泌された状態になる。決してやましいものではない)。
そんな『創聖のアクエリオン』ですが、ロボットの変形ギミックの多彩さが見どころの一つ。三体のロボットが合体することで巨大ロボットに変形するほか、合体する機体の種類や順番によって異なる形態へと変形するなど、TVアニメシリーズを通して様々なパターン・種類のロボットが登場します。『創聖のアクエリオン』に登場するロボットフィギュアを持っているのですが、3体の機体から構成されていることもあり、パズルのピースを1つ1つ組み合わせていくかのような面白さがありました。アニメを見て合体の仕組みが気になった方はフィギュアを組み立ててみることをおすすめ。「こうなっていたのか!」という発見があるかもしれません。
誰が”いちごパンツ”を履いていたのか? 美少女と青春の葛藤を描いた『いちご100%』
『いちご100%』は、2005年に放送された学園ラブコメディーアニメです。
本作は、中学生の主人公・真中淳平とその周囲の少女との日常や恋、学園生活を描いた物語。『週刊少年ジャンプ』で連載された本作は、魅力的なヒロインたちや、多感な中学生・高校生の恋模様を描いたストーリー展開が多くの少年(少女)を魅了。
20代~30代の少年たちのほとんどが『いちご100%』に影響を受けた、もしくは気になるヒロインがいたといっても過言じゃない気がします。筆者が通ってた学校には、『ワンピース』や『ナルト』は読んでいないけれど、『いちご100%』は読んでいたやつもいました。潔い。
本作は、映画監督を目指す少年・真中が、屋上で“いちごパンツ”を履いた美少女と出会うことから物語がスタート。“いちごパンツ”を履いていた少女を探す真中は、一見地味だけどメガネを外すととびっきりの美少女な“東城あや”、学校のマドンナ“西野つかさ”、積極的だけど土壇場で奥手な姿を見せる美少女“北大路さつき”、真中の幼馴染の美少女“南戸 唯”と、4人のメインヒロインと出会います。
文化祭や卒業、高校進学など、学校ならではのイベントを交えつつ、ヒロインたちとの交流を深める真中。そして、真中のことを好きになっていくヒロインたち。
“一体だれがいちごパンツのヒロインなのか?”、“誰と結ばれるのか?”というドキドキがありつつも、可愛いヒロインたちが恋や人生に悩む姿には胸がぐっと締め付けられることも。
『いちご100%』は、ラブコメとしての魅力はもちろん、人物描写の丁寧さも見どころ。真中のために悩み、怒り、ときめくヒロインたちの姿は、女性でも「可愛い」と思う場面が多々あるはず。筆者は東城 綾ちゃんが好きです。『ジャンプ』随一の清純派といえば綾ちゃんのこと。
女神さまと人間の恋の行方はいかに? ラブコメSF『ああっ女神さまっ』
『ああっ女神さまっ』は、『サクラ大戦』『テイルズ オブ シリーズ』のキャラクター原案も担当している藤島康介さんの同名漫画のTVアニメ。2005年から2006年にかけてアニメ化されました。
本作は、女神様と共同生活を送ることになった青年の恋と奮闘の日々が描かれています。ある日、誤って天上界の“お助け女神事務所”に電話をかけてしまった(というわけではなくきちんと理由があったりします)主人公の青年・森里螢一。電話の相手は一言「今からそちらに伺います」と伝えると、螢一の部屋の鏡のなかから登場!
なんと、登場したのは北欧神話に登場する美しい女神さま・ベルダンディー。どんな願いも一つだけ叶えてくれるというベルダンディーの申し出に対し、螢一は「君のような女神にずっとそばにいてほしい」とお願いし、“女神さまとの共同生活”を送ることになります。やがて、螢一の下には、ベルダンディーの姉・ウルドや妹・スクルドたちも押しかけてくるようになり、”女神さまたち”との非日常&刺激的な日々が描かれていきます。
本作の見どころは女神さまと螢一の恋の行方。突如現れた女神さま・ベルダンディーに一目惚れした螢一は、共同生活を送る中で”自分を好きになってもらえるように歩みだします。そして、共同生活を送るなかで、ぎこちないながらも少しずつ距離を近づけていく螢一とベルダンディー。
このままいけばいいのですが、上記のようにベルダンディーの姉妹が訪れてきたり、ベルダンディーを手に入れようとする人物があらわれたりと一筋縄ではいきません。また、人間には人間界のルールがあるように、女神さまには女神界のルールが存在し、これまた2人の障害となって立ちふさがることも……。
いつになったら螢一とベルダンディーがくっつくんだろうか? とドギマギする気持ちしながらも、立ちふさがる障害を乗り越えようとする2人の姿は応援したくなるはず! ああっ女神さまどうなるの?
そして、本作には北欧神話に登場する神々や魔物をベースにしたキャラクターが数多く登場するので、北欧神話が好きな方は「おお!」となるポイントがあるかも? また、螢一はオートバイが趣味であり、大学では自転車部に所属しているなどモータースポーツ描写が多い。女神さまとのラブコメ要素だけでなく、北欧神話からなるSF要素、モータースポーツ描写があるところも見どころです。
平成17年の日本はどうだった?
ちなみに平成17年の日本は、小泉内閣による“郵政解散”や第二次世界大戦の終結から60年、阪神淡路大震災から10年など日本にとって大きな出来事が起きた年・節目の年でした。また、TVアニメ『ドラえもん』の声優陣が一新、日本プロ野球初のセ・パ交流戦が開幕、つくばエキスプレスの開通、ディープインパクトが菊花賞に勝利し市場6頭目となるクラシック三冠制覇を達成、『電車男』が映画・ドラマ化し秋葉原が注目されたのもこの年の出来事です。
次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!
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