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『フルーツバスケット』新TVアニメ化を機に振り返ってみた。傷ついた心をほどく少女と”十二支の物の怪憑き”の一族の物語に涙
2018.11.20 <PASH! PLUS>
PASH! PLUS
苦しい今を、透の笑顔が救ってくれた
今回は、1998年から2006年まで、『花とゆめ』(白泉社)にて連載された名作少女漫画『フルーツバスケット』の思い出を振り返ります。
主人公・本田 透と“十二支の物の怪憑き”の草摩一族の物語を描いた『フルーツバスケット』。本作は「もっとも売れた少女漫画」とも言われており、2001年にはアニメ化、2009年には舞台化されるなど様々なメディアでも取り扱われています。
そんな本作は、この度新たなスタッフ・キャストで新TVアニメ化されることが発表に! まさかの新アニメ化にPASH!編集部も大興奮。漫画を読み返していくうちに思い出が蘇ってきたので、勢いのままに思い出コラムを執筆しました。
“十二支”に憑かれた一族と少女との出会いの物語
本作の主人公は、幼くして父親を亡くし、高校生になり母親を事故で失った天涯孤独の少女・本田 透。唯一の家族であった母親を亡くしてからは、小山でテント暮らしの日々を送っていました。しかし、土砂崩れでテントをも失ってしまった透。途方に暮れている透でしたが、なんとテントを張った場所は同級生・草摩由希の一族が所有する土地だったことが判明! この縁(?)をきっかけに、由希が暮らす草摩一族の家に居候することになります。
ここまでは、“気になる異性と暮らすことになる”という王道ラブコメ展開。しかし、『フルーツバスケット』はここにもうワンポイント。なんと、由希を含む草摩一族は、“十二支の物の怪憑き”であり、“異性に抱き着かれると憑かれた獣に変身してしまう”という体質を持っていることが判明するのです。
“十二支の怪憑き”である草摩家は、十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)+猫に変身してしまう特異体質を持つ一族。異性に抱き着かれると憑かれた獣に変身してしまうため、かなり気を使って生活しています。ただし、“十二支の物の怪憑き”同士、もしくは“神”と呼ばれる存在であれば抱き着かれても変身することはありません。
“神”は、“十二支”を統べる特別な存在とされているも、生まれにくいといわれている存在。つまり、草摩家に生まれた“十二支の物の怪憑き”は、生まれ持って“家族以外との異性とは触れ合うことができない”=“恋愛ができない”のです。これ以上ない人と出会えたとしても、友達以上の関係を望まなかったとしても、“十二支”であることがバレてしまえば、思い人の記憶を操作し、それまでの恋や友情を忘れさせなければなりません。切ない。
透は、“呪い”ともいえる体質を持つ草摩家と同居を続けるうちに、彼らの苦悩や悲しみを知り解放したいと思うように。苦悩を抱える一族とひたむきに向き合う透、そんな彼女と触れ合ううちに変わり始める草摩家と、それを取り巻く人たちの姿が描かれているのが『フルーツバスケット』です。
美形&個性豊かな草摩家に魅了されて
本作に登場する“十二支の物の怪憑き”である草摩家は、 “美形の家系”との呼び名もあるくらい美形&イケメン揃い。
11/20にアニメ化と同時に解禁となったティザービジュアルは、アイドル的存在の美少年である“子”の由希、腹黒な一面がある小説家の男性である“戌”の紫呉、オレンジ髪が印象的で喧嘩っぱやいけど優しい男の子の“猫”の夾が、透を草摩家に迎えている、往来のファンには堪らない一枚となっています。
そのほかの“十二支の物の怪憑き”である草摩家の面々は、まだビジュアルは解禁となっていませんが、簡単なキャラ紹介だけ……“丑”の潑春は不良のような一面もあるけどさり気ない気づかいができる少年、“寅”の杞紗は引っ込み思案だけど透との出会いで勇気を持つようになる女の子、“卯”の紅葉は天真爛漫だけどしっかりした一面もある男子(しかしショタみが強い)、“辰”のはとりはクールで物静かな医者の男性、“巳”の綾女はナルシストな一面もある耽美な美青年。
“午”の依鈴は10代とは思えない色気を持つ強気な女の子、“未”の燈路は頭の回転が速い&ちょっぴり寂しがりやな男の子、“申”の利津は一見すると女性にしか見えない男性、“酉”の紅野は26歳になるまでコンビニで買い物をしたことがなかった(これは訳あり)のクールな男性、“亥”の楽羅は猪突猛進な恋する女の子。
13名をかなり駆け足で紹介してみましたが、これでは彼らの魅力がまったく伝わらないので、今後もTVアニメ『フルーツバスケット』の公式サイトをチェックしてくだされ……。中学生時代に『フルーツバスケット』に出会った筆者は“戌”の紫呉さんがとても好きでした。着物姿がとっても艶やかです。
→ティザービジュアルが掲載されているアニメ公式サイトはコチラ
心に抱えた傷を癒すことはできるのか? 未来に進むために向き合う彼らの姿
草摩家を始め、本作に登場するキャラクターの多くが心に傷を抱えており、その傷をどのように癒し、克服していくかが見どころのひとつ。作品全体としては思わず笑ってしまうくらい明るい&ほっこりするエピソードも多いのですが、キャラクターの傷が明らかになるシーンでは心がずっしりと重くなります。
常に劣等感を抱えていたり、親に虐待された過去を持っていたり、物の怪憑き特有の見た目が原因でいじめにあっていたり、十二支であることにコンプレックスを感じていたり……様々な形の心の傷を抱える彼らは、時にその心の傷を牙に変えて突き付けることもあります。そんな彼らの心の傷と真正面から向き合い、癒そうとする透の心の大きさ(器の広さ)は見習いたいものです。そして、透も心に傷を抱えているキャラクターのひとり。彼らの心の傷と向き合うことで、透も自らの傷と向き合っていくのです。
また、作中では数多くの名言が登場。傷つき、悩む彼らの言葉は、心に傷を抱えたことがある人(きっと生きているうちはみんなそう)に刺さるものがあるはず。個人的には紫呉の「生き方がつたなくて おぼれないように必死でもがいて力を抜けば 浮くのにね」という言葉に救われました。今はもがきながら生きているけれど、いつかは浮かぶことができるのかなと思うと、少しだけ体の力の抜き方が分かったような気がします。いつかはこんな味のある生き方をしたいものです。
DATA
■TVアニメ『フルーツバスケット』
公式サイト:https://fruba.jp/
公式Twitter:@fruba_PR
公式Instagram:@fruba_pr
ON AIR:2019年テレビ東京ほかにて放送開始!
STAFF:
原作・総監修=高屋奈月「フルーツバスケット」(白泉社・花とゆめCOMICS)
監督=井端義秀
シリーズ構成=岸本 卓
キャラクターデザイン=進藤 優
アニメーション制作=トムス・エンタテインメント
CAST:
本田 透=石見舞菜香
草摩由希=島﨑信長
草摩夾=内田雄馬
草摩紫呉=中村悠一
ほか
©高屋奈月・白泉社/フルーツバスケット製作委員会
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