TVアニメ『ツルネ』大切にしたいのは「静」と「動」のギャップ。山村卓也監督インタビュー

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2018.11.18 <PASH! PLUS>

PASH! PLUS

　PASH!11月号では放送中のTVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』の特集を掲載しています。ここでは山村卓也監督のインタビューをお届け。本作の見どころや、作品への想いをうかがいました。　

　矢を放ったときに鳴る音・弦音。それは、射手によって異なるという。しかも、同じ射手でも条件やコンディションにより変化するため、まさに一期一会の音。『ツルネ —風舞高校弓道部—』は子供の頃、母親と見にいった弓道場で、弦音に魅入られた湊を中心とする弓道男子たちの物語だ。

——原作をお読みになったとき、とくに印象的だったことを教えてください。

　僕は弓道に触れたことがなかったので、弓道に武道の一面と、競技の一面があることさえ知りませんでした。でも原作を読み、弓道って矢を的に中てるだけじゃダメで、所作や礼儀が重んじられることを知りました。所作を重んじる一方で競い合う。一見、矛盾しているかのように思えるなかで、湊たちが弓を握り、的、そして自分と向き合う姿が大切に描かれているなという印象を受けました。

——今回、派手なアクションのある作品ではないので、「静」を表現するシーンが多くなると思いますが、だからこその面白さと難しさはどこでしょうか？

　実際、高校生の試合を見学させていただいたのですが、会場内がすごく静かで、そのなかで響く弦音に聴き入ってしまったんです。弓を引く側の集中力、観る側の集中力が生み出す空間が「静」だと感じたので、映像ではそこを大切にしていきたいと思いました。特に弓を引く際の所作の美しさは物語を左右するので、アニメーターのみなさんが日々弓道の映像を観て研究してくださっていて。大変ですが、そこが面白さでもあります。

——逆にどのような部分が「動」になりますか？

　試合を観にいったとき、会場の外で試合前の男子高校生たちがすごく楽しそうにバカ騒ぎをしていたんです。でも、いざ試合が始まるとキリリとカッコいい。その凛としている姿が「静」ならば、わちゃわちゃ騒いでいるシーンが「動」ですね。

——男の子同士のやり取りを描く際に意識していることはありますか？

　いい意味での″バカっぽさ〟。シリーズ構成の横手美智子さんにも、弓を引くときはカッコいい子たちが、普段は高校生らしくふざけあう、そのギャップを描いてほしいとお話しさせていただきました。また、わちゃわちゃしたシーンはカメラを望遠気味にし、視聴者が彼らの生活をのぞき見しているような雰囲気にしています。

——若手のキャストさんが多い現場ですが、アフレコの様子はいかがですか？

　フレッシュな感じがほしくてキャスティングはオーディションだったのですが、名前とプロフィールを伏せ声質と演技だけで選ばせていただきました。オンとオフのときのセリフを用意したのですが、選出の決め手は感情の切り替えでしたね。実際、アフレコ現場では初めましての方々もいて、まさにここから物語が始まっていくんだという空気感がありますね。作品の説明をするときもみなさん真剣な眼差しを向けてくださるので、僕のほうが緊張しすぎてしまったぐらいです（笑）。

——湊役の上村さんは、オーディションで静弥を受けたそうですね。

　そうなんです。でも、優しい声のなかにある芯の強さが湊にピッタリだなと思い、湊をお願いすることになりました。

——では最後に、序盤の見どころを教えてください。

　湊と静弥は幼馴染みで、七緒と海斗はいとこ、遼平も湊や静弥と小学生時代は友達だったこともあり、個々にはみんな仲がいいんです。でも、湊たちは七緒と海斗に高校に入ってから出会うので、５人としてのまとまりはバラバラ。序盤の空気は少し張りつめているかもしれません（笑）。

　そんな彼らが徐々に距離を縮めていく様を、微笑ましく見守ってください。また、第１話は湊に注目してほしいですね。湊がどんな子で、現在、どういう状況に置かれているのか。そして彼を取り巻くキャラクターたちの立ち位置がポイントになってきます。ぜひ、湊の所作、射と併せて楽しんでいただけると嬉しいです。

（※PASH!2018年11月号より抜粋）インタビューの全文を読みたい方もっと詳しく知りたい方は、（Amazon） ↓　↓　↓　↓　↓　↓　↓　↓ PASH! 2018年 11 月号 [雑誌]

DATA
■TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』
公式サイト：http://tsurune.com/
公式Twitter：＠tsurune_anime