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アニメ『群青のファンファーレ』は1クール13話で競馬学校の3年間を描く。片岡裕貴プロデューサーにインタビュー!

2022.04.29 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 競馬学校で騎手(ジョッキー)を目指す少年たちの青春を描くオリジナルTVアニメ『群青のファンファーレ』は4月2日より絶賛放送中。

 本記事では『PASH!』4月号に掲載されたアニプレックスプロデューサー・片岡裕貴さんインタビューの一部を特別に掲載します!

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アニプレックスプロデューサー・片岡裕貴さんインタビュー

「騎手を目指す学生たちの”夢の在り方“が、どう変化していくのかを描きたいと思っています」

 「青春ものらしい爽やかな作りと、競争馬の疾走感という、新たな映像表現にチャレンジしている作品です」と語ってくれた片岡プロデューサー。オリジナルアニメーションとしても期待がかかる本作の制作エピソードを、とことん教えていただきました!

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競馬初心者も楽しめる10代の青春ドラマを

――オリジナルアニメである『群青のファンファーレ』は、いつ頃から企画が動き出したのでしょうか?

 2016~2017年頃から動き始め、シナリオ会議が始まったのは2019年頃になります。元々弊社プロデューサーの黒﨑静佳が、少年少女の青春群像劇をオリジナルアニメーションで作りたいという願いを長らく持っていたんです。他方で、Lay-duceの代表取締役である米内則智プロデューサーが、大変競馬がお好きな方で。Lay-duceさんとは『Fate/Grand Order -First Order-』などの作品をご一緒した経緯もあり、まさに馬の合うメンツが揃ったなかで、全寮制の競馬学校ならば青春群像劇の舞台としてピッタリだろうと、本格的に企画が立ち上がりました。

緻密な取材を基に学生生活3年間を描き切る

――物語の舞台となる競馬学校とは、どんな場所なのでしょう?

 3年間全寮制という大変特殊な世界です。そもそも入学自体が狭き門ですし、年齢ごとに定められた45~48kg以下という体重をクリアしていないと、騎手になれないため毎朝体重を測定し、そのために生徒さんによっては食事制限をするような厳しい面もあります。また2年生になると「トレセン」で大人たちに囲まれて、学生の立場ではなくプロのひとりとして扱われながら実習を行います。

――実際にどんな取材を経て制作が行われているのか教えてください。

 まず競馬学校のみなさんにご協力いただき、企画立ち上げの段階では、キャラクターデザインのかんざきひろさんにもご同行いただいて取材を行ったり、その後もシナリオ開発過程で何度も取材や見学をさせていただきました。

 あと厩舎って、例えば馬が歩く蹄の音だとか、独特な音がするんですよ。そこで音響効果の上野励さんにもご同行いただいて、録音してきた生の音を本編でも使用しています。普通は一般の方が入れない施設なのでみなさんに実物を見ていただけないのがもどかしいですが、競馬学校を少しでも知っている方は再現度の高さを感じていただけるのではないかなと。またシナリオやコンテ開発の時点で教官の方に意見やアイディアをいただき、本編に反映している部分もあります。

――丁寧な取材のもとで作られているのですね。

 元ジョッキーの方にも何名かインタビューさせていただき、競馬学校在籍中にどんな苦労があったか、どんな人間関係が広がっていたか、また今振り返ってどう感じているかを事細かにお伺いしました。もちろんアニメーションにするうえでフィクションの要素も入れてはいますが、競馬業界を知る方には共感いただける部分がきっとあると思っています。競馬場への取材・見学もしっかり行わせていただいたりと、本当にたくさんの競馬業界の方々からお力をお借りして制作することができています。

――シナリオ制作でポイントとなったのはどんなことでしょう?

 第1話で入学式、最終話の第13話では卒業式を迎えるという、1クール全13話で競馬学校の3年間を描いている点でしょうか。そのうち前半の物語では、優を中心に慣れない過酷な環境のなかで人間関係を構築しながら成長していく生徒たちの姿を描いていきます。そして後半は先ほど触れたトレセン編として、駿を中心に実習生となった彼らが、大人たちに揉まれながら成長する様を描きます。プロの騎手も登場してきて、前半の物語とはまた違うテイストをお楽しみいただける構成です。

――3年間の日々を1クールで描こうと考えた理由は?

 この作品のテーマのひとつは、“夢の在り方”。登場する8人の学生たちの夢の在り方がどう変化していくかを描いていきたい、という想いがまずありました。彼らは騎手を夢見て競馬学校に入学してくるわけですが、心も身体も極限まで追い込まれるなかで、自分の夢は本当にこれなのか? と悩んだり、新しい夢を見つけたりする瞬間も出てきます。

 それなら中途半端なところで物語を切ってしまうよりも、彼らが自分の夢に辿り着く卒業までを1クールにしようと。そこは当初から制作チームでブレずに共有できていました。駆け足に感じさせないよう、しっかりキャラクターや物語も膨らませた構成になっています。

矢野さん&土屋さんは主人公コンビにそっくり!?

――優役は矢野奨吾さん、駿役は土屋神葉さんが担当されています。

 最終的には掛け合いのオーディションも行い、そのときにはおふたりに逆の配役も演じていただいているのですが、最終的に満場一致で今の役柄をお願いする形になりました。矢野さんは真面目でストイックで実は不器用なところもある元アイドルの優を、しっかりご自身に落とし込んで演じてくださっています。

 土屋さんは島育ちの駿を、天真爛漫で嫌味のない素直な少年像にしてくださっていて。収録を聴いていても、ふたりのキャラクターとそれに紐づくキャスティングのバランスが非常に良く、自然とスッと落ちてくる感覚があるんです。というか、おふたりが優と駿のまんまに見えるんですよね。お二方の素がそれぞれの役柄に近かったのかなと。すごくいいコンビネーションだと思います。

――音楽は澤野弘之さんがご担当と、こちらも豪華なスタッフィングです。

 澤野さんはアニプレックス作品なら『青の祓魔師』、『七つの大罪』、『キルラキル』、それ以外でも『進撃の巨人』や『機動戦士ガンダムUC』など、バトルものや戦争もの、ファンタジー作品が多い印象ですよね。でも実写ドラマも多数手がけられているので、本作ではそちらのアプローチをお願いできたらと考えていました。

 本編をご覧いただくと、澤野さんが作る爽やかな青春ものの音楽がすごく新鮮に感じられると思います。その一方で、レースや学生同士の勝負シーンでは、澤野さんらしいアッパーで攻めたサウンドも出てきます。キャラクターたちに寄り添うような優しいタッチの音楽もあって、全曲素晴らしいので、早くみなさんにサントラも聴いていただきたいです。ぜひ音楽も楽しみにしてください。

JO1と生徒たちにリンクした“サバイバル”

――オープニングテーマはJO1さんによる『Move The Soul』と、こちらも注目度が高いです。

 JO1のみなさんはオーディションを勝ち抜いてこられた方々で、本作の学生たちも、競馬学校で切磋琢磨し騎手になるためのサバイバルを繰り広げることになります。どちらも夢を抱いて仲間と大舞台に挑み、それでも全員が夢を掴めるわけではない、というところがリンクするように感じていて、今回ご縁があって主題歌をお願いすることになりました。

 楽曲も作品テーマをしっかり踏まえたうえで、今時のビートの立った攻めたサウンドに仕上げてくださって、騎手の持つアスリートの面にもフォーカスしたようなサウンドになったと感じています。それでいて歌声はキラキラとした青春モノにピッタリな印象で、爽やかで熱いものを感じさせるOPに仕上がっています。

――エンディングテーマは澤野さんのプロジェクトSawanoHiroyuki[nZk]:が手がけ、JO1の河野純喜さん、與那城 奨さんが歌われる『OUTSIDERS』です。こちらはどんな楽曲でしょう?

 元々EDは澤野さんのソロプロジェクトのSawanoHiroyuki[nZk]:にお願いしたいと考えていて、そこにJO1さんがボーカルとして入ってくださったら作品としても統一感が生まれ、物語のテーマにも連動するなというアイディアでした。澤野さんサイドにもご快諾いただき、JO1さんサイドにも意図を汲んでご参加いただけたので、非常に良い流れで取り組めました。

 OPは主人公たちが夢に向かう姿や、燃える想いに寄り添ってくれる楽曲だとすると、EDは澤野さんがそことはまた違う面から本編に沿った楽曲に仕上げてくださっていて、本編を見終えたときに心地よい余韻が得られるようなEDになっています。

気になるキャラクターをチェック!

有村優(CV:矢野奨吾)

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 優はアイドルという、傍から見れば恵まれた、それこそ夢の道を歩んでいた人。でもそれは幼いときからその世界にいた彼にとっては当然の場所で、新たに騎手という夢を見つけ歩き出したところから物語が始まります。彼が騎手を目指すことで、周りに不和や違和感が生じたり、逆に応援したくなる人が出てきたりと、元アイドルという出自だからこそ生まれるドラマやエピソードにも注目してほしいです。

風波駿(CV:土屋神葉)

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駿はただ馬が好きで騎手になろうと、競馬学校に入学してきます。ある種の天才で、騎乗経験もないのにどんどん才能を発揮していく。そんな彼が優や同期たちと出会い、遂げる成長とはどんな形なのか。そんな点に注目していただけると幸いです。

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