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『ユーリ!!! on ICE』音楽プロデューサー・冨永恵介特別インタビュー
2016.12.21 <PASH! PLUS>
PASH! PLUS
スケート演技は「3拍子で美しくみせることができる」ことに気がついたんです
Q.EDテーマである『You Only Live Once』の制作エピソードを教えてください。羽多野 渉さんとはどんなやりとりをされましたでしょうか?
EDに関しては、監督からインスタグラム風の演出アイディアを伺い、音楽企画を考えるところから始めました。OPの『History Maker』が英語詞であることも併せて考えると、あまりドメスティックな雰囲気のものでは『ユーリ!!! on ICE』全体の世界観から離れてしまうという危惧もあったので、監督と相談しながら、英語詞も取り入れたテンポ感のあるキャッチーなダンスチューン、というアイディアにたどり着きました。
具体的な制作を検討するなかで、作曲は作家事務所「一二三」に所属している彦田元気さんと組むことにしました。元気さんにはとてもキャッチーなメロディとリフを書いていただけたので、その時点ですでに手応えを感じていましたね。
作詞に関しては、この方向ならば西寺郷太(NONA REEVES)さんにぜひ頼みたい、と真っ先に彼が思い当たり、依頼しました。西寺さんとは彼が『スペース☆ダンディ』のOP曲、岡村靖幸さんの『ビバナミダ』の作詞を手がけられたときから間接的には繋がっていたんです(その岡村靖幸さんのMVは、山本監督が手がけています)。さらに実際には、本編音楽担当の梅林くんも作曲参加したポカリスエットのTVCMソング『キミの夢は、ボクの夢。』制作時に、詞を西寺さんに依頼したときからのお付き合いなんですね。普遍さと若さ、キッチュさのようなものを、それこそ“音楽を太字のペンで描く”のが素晴らしく上手な方なので、今回の制作にはぴったりだと思いました。残念なことにお互い忙しくて会って話す都合がつかず、発注は資料を見てもらいながらの電話打ち合わせだったのですが、その電話口で西寺さんと内容に関して話していた際に、“ユーリ”に近い発音の英語を探していたんです。「たとえばYou Live, You leave, You only…、よしっ、じゃあ“You Only Live Once(人生は一度きり)”でいきましょう!」と、話の流れでわりとすぐに曲名とフックと全体のイメージが決まりました。それが異様にスムーズで(笑)、よかったです。また半分偶然なんですが、サビの歌詞をOPの『History Maker』に対するアンサー的なアプローチにすることができて、個人的には相当うまいこといったな…!と思っています(笑)。
羽多野さんとのボーカル録音作業は、彼の表情の付け方、キャラクターの引き出しの多さ、表現力の幅に驚かされながら、とても楽しく作業できました。当初は録音した声を、今よりもっとケロケロなボーカロイド風に加工するアレンジを考えていたんですが、録音したテイクを精査した結果、その時点ですでに魅力的なテイクが多かったので、仕上げ作業では羽多野さんの生声の魅力を予定より多く残す方向にシフトしていきました。
あとこれはまったく予期も意識もしていなかったことなんですが、この楽曲が良い意味でTM NETWORK(の特に『Get Wild』)っぽいテイストを感じさせる仕上がりになったことが、世代的にはツボでして。現場で「TMっぽい!」と言っても、周りのスタッフはみんなキョトンとしていたんですが(笑)、羽多野さんには「分かります」と同意してもらえたのが嬉しかったです。ちなみに、本編第7話では、『You Only Live Once』のイントロがED映像に先行して鳴り出すようなEDITを作っているのですが、個人的にはこれは“シティーハンター・スタイル”(古くてすみません)です。…分かる人には分かるはず!(笑)
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