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『ユーリ!!! on ICE』音楽制作チームが徹底楽曲解説!【後半戦】

2016.12.23 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

中国大会&ロシア大会出場選手のSP&FSを深~く紹介♪

 TVアニメ『ユーリ!!! on ICE』の世界を彩る数々の楽曲。その魅力と制作秘話を、音楽プロデューサー冨永恵介(PIANO)、作編曲・梅林太郎さん&松司馬 拓さんから、盛りだくさんで語っていただきました。発売中のPASH!1月号には載せきれなかったエピソードを、PASH!PLUSで特別大公開です! アニメ本編や発売中のサントラCD『Oh! スケトラ!!!』を視聴しながら読んでいただければ、さらに楽しめるはず。PASH!本誌とはほぼ異なるお話が中心となっていますので、PASH!1月号もあわせて読んでみてくださいね。それでは、後半戦もがんばらんば!

【冨永さんインタビューはこちら】→『ユーリ!!! on ICE』音楽プロデューサー・冨永恵介特別インタビュー
【楽曲解説前半戦はこちら】→『ユーリ!!! on ICE』音楽制作チームが徹底楽曲解説!【前半戦】

※文末に名前の記されていないコメントは、すべて冨永さんからのものです。
※【】内は編集部注釈です。
※SP=ショートプログラム、FS=フリースケーティング を表します。

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冨永恵介
1978年生まれ、横浜出身。音楽プロデューサー。
日本大学芸術学部写真学科卒業、音楽プロダクションGRANDFUNKを経て、2012年PIANO inc.設立、代表取締役社長就任。趣味は海釣り。
主な音楽プロデュース作品に、ポカリスエット2016 CM『キミの夢は、ボクの夢。』、SUNTORY PEPSI桃太郎シリーズCM(小栗 旬主演)、TVアニメシリーズ/『残響のテロル』『スペース☆ダンディ』『坂道のアポロン』、五五七二三二〇/『半世紀優等生』 ほか

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梅林太郎
1980年生まれ、東京出身。作曲家、編曲家。
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、作曲、管弦楽を学ぶ。
2012年8月にRallye Lableよりアーティスト[milk]として1stアルバム『greeting for the sleeping seeds』をリリース。
主な作曲作品に、ポカリスエット2016 CM『キミの夢は、ボクの夢。』、死にゆく星の旋律『ALMA MUSIC BOX』収録“Limbo”、アニメ・スペース☆ダンディ劇伴音楽、原田知世/“ハーモニー”、“黒い犬”、小泉今日子/“小雨の記” ほか

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松司馬 拓
1991年大阪府生まれ。作曲家、音楽家。
東京藝術大学付属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同、大学院修士課程作曲専攻修了。
現代音楽フィールドでの活動・研究を主としながらも、オーケストレーション、指揮の技術を用いてCM音楽等の分野でも活動の幅を広げる。

 

◆ギオルギー・ポポーヴィッチFS
『A Tales of Sleeping Prince』(3:37)
梅林太郎 featuring AISHA
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*梅林くんのメロディセンスとストリングスのフレージングの秀逸さが光る曲になっています。メインボーカルはAISHAさんに頼みました。彼女との仕事はいつも和気あいあいで楽しく、素晴らしく伸びやかで力強いボーカルテイクを録らせてもらえました。なお、マッチョなコーラスパートはピチットのSP『Shall We Skate?』にも参加した、The Soulmaticsの面々によるものです。

*作詞はsugar meです。ある種ゴスペル的な敬虔な愛の世界観を、見事に描いてくれました。彼女がつけたこの曲名『A Tales of Sleeping Prince(=眠れる王子の物語)』が、SPとFSでうまいこと逆説的な比喩になっているところもとても気に入っています。

◆レオ・デ・ラ・イグレシアSP
『Still Alive』(2:10)
梅林太郎 featuring MATT CAB & WISE
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*編曲はピチットのSP『Shall We Skate?』もやっていただいたハヤシベトモノリさんに手がけてもらいました。強度の高い骨太なビートアレンジに仕上がっていて、個人的にとても気に入ってます。しかもこの曲はハヤシベさんにMIXまで手がけてもらっていて、彼は改めてすごい才能と技術の持ち主だと感じますね。

*歌は、R&Bマナーにのっとってポップスをフレッシュに、しかも英語詞で歌える男性ボーカル、という観点でボーカルを選考し、MATT CABさんにお願いしようと思い当たりました。スタジオでお会いするまで声や音源以外の詳しい経歴を存じ上げていなかったのですが、現場で彼もレオくんと同じく西海岸(サンフランシスコ)出身だと聞いて、「ピッタリです!」と。

*ラップのWISEさんは以前から縁があり、今回の件も快く引き受けてもらえました。イメージを伝えて8小節を渡し、自由に詞を書いてもらったのですが、キャッチーな声に加えてラップが本当に素晴らしくうまい!! リリックにもグッときました。劇中ではレオくんのセリフがWISEの書いたリリックを引用している部分があって、そうしたアニメと音楽がセッションしながらできあがっていくようなところも、制作の楽しいところでしたね。

◆クリストフ・ジャコメッティSP
『Intoxicated』(2:09)
梅林太郎 featuring Jovette Rivera
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*Princeとか、Serge Gainsbourgとかを改めて聴き直してみたりして、「やっぱりテンポはグッと抑えたほうがアダルトな雰囲気が出るな」とか、「演奏の強弱に緩急をつけてキメでエレキソロとかエロいかも」とか、「Barry Whiteばりの低めのトーンの吐息はやっぱマストだな(ちなみにあれは僕の声です)」と考えました。それらのアイディアを、梅林くんが見事に斜め上をいく形でアレンジしてくれています。冒頭のスラッピー【叩いたり弾いたりする奏法】なベース、粘着質なギターなど、梅林くんの随所の“エロ・サウンド”へのこだわりが、とても良い結果になっていると思います。

*sugar meが、これまたうまいことアダルトながらも品良くポエティックな歌詞を書いてくれたのもよかったです。歌はJovette Riveraさん、オケは全パート梅林くんの生演奏、プログラミングによるアレンジです。

◆クリストフ・ジャコメッティFS
『スペイン狂詩曲』(3:38)
松司馬 拓指揮 Ensemble FOVE
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*2拍子、ハバネラ風の構成で、粘って跳ねるようなリズムがグルーヴィーで特徴的です。松司馬くんは黒人ソウル・R&BアーティストD’angeloの信奉者でもあり、ブラック・ミュージックの深いグルーヴをよく理解しているので、オーケストラの演奏でもこういう指揮ができるところがまたすごいです。クラシック畑の人で、D’angeloの来日公演に東京、大阪、どちらも行く、みたいな人、まず聞いたことがないですから、彼は視野の広い本当に信頼できるクラシックマンですね。

Q.『スペイン狂詩曲』には、リストやラヴェルなどが手がけた同名曲がいくつかありますが、何かインスピレーションを受けている楽曲はあるのでしょうか?

 「クラシック音楽においては」、ですが、スペイン風音楽はある時期に歴史的に流行ったものなので、その流れを汲むような音楽にはなっていると思います。「異国趣味を取り入れたクラシック」みたいな分野の一環です。ボレロやラヴァルスなど、「一定のリズムにのって変容していく系の音楽」とも言えるかもしれません。(松司馬)

◆イ・スンギルSP
『Almavivo』(2:16)
松司馬 拓
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*ブラスは南のFS『Minami’s Boogie』同様、村田陽一さんチームによるものです。また冒頭のトランペットソロは、ベテラントランペッター・西村浩二さんの演奏です。西村さんのフレーズの歌いっぷりや強弱の付け方が素晴らしく、とてもいい雰囲気に仕上がりました。

>>次ページには、エミル、ミケーレ、JJの楽曲が登場♪

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