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【PASH! PLUS独占!】『ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー』勇者役・松浦 司独占インタビュー Part.2
2016.07.17 <PASH! PLUS>
PASH! PLUS
360度客席に囲まれた舞台で、観客全員を楽しませる仕掛けのヒミツ
『ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー』勇者役・松浦 司さんインタビュー・連載2回目。前回はオーディションでの運命的なできごとや、本作への意気込みを語ってくださいました。今回は、作品の内容や稽古場の雰囲気について、より詳しく伺います。本作、そして『ドラゴンクエスト』(以下『DQ』)自体のテーマでもある「勇者は“あなた”だ」とは、一体どういったことなのでしょうか?
●Part.1はコチラ→https://www.pashplus.jp/special/interview/23413/
いちばんの見どころは、僕が演じる勇者の姿に、お客様が自分自身を投影できること
――初めて台本を読まれたときの感想は?
まず「親と子の絆」を感じました。それから、ものすごく愛が詰まった作品だなと。
アクションや笑いなどいろんなものがてんこ盛りになっているので、見どころはたくさんあるのですが、特にクライマックスに向かう流れに感動して。
初めて通し稽古をしたときは、正直ちょっと震えました。自分で演じているんですけど、ちょっと鳥肌が立っちゃいましたね。
――本作の勇者とは、どんな役どころなのですか?
例えば僕がメインステージに立っていたら、観ている方が「今あそこには立ってんのは“俺”やねん。“俺”が立ってんねん」って思ってもらえるような、そういう役ですね。
本作は観に来てくださるみなさんが、ゲームをプレイするときと同じように「自分が“勇者”だ」と思ってもらえるような演出になっています。そこがこのショーのいちばん見どころであり大事な部分だと思っています。
だから僕が「やあ!」とか言って敵と戦ってるときに、みなさんも気づいたら「やあ!」とか言ってるんじゃないですかね。
誰かを見ていて「危ない!」って思わず言っちゃう場面とか、よくあるじゃないですか? ほかにも人が話しているのを聴いて、喋っている本人よりも感動して泣いてしまうとか。そういう感じで、本作はお客様が僕たち演じる側と一緒に同じ空間を作っていると感じられるような仕掛けがたくさんあるんです。
会場みんなで一緒に盛り上がるシーンや、声を出したりするシーンとか、本当に盛りだくさんなライブエンターテインメントショーになってます。
ありのままの自分で舞台に立ちたい
――松浦さんが勇者役を演じるうえで、心がけていることは?
素直に自分らしさを出せることが、いちばんなのかなって思っています。というのも、今回この役に選ばれたときに、「松浦さんだったら、観ている人が気持ちを投影できる」と言ってもらえたんですよ。
実際こうして喋っているときの喋り方だとか、普段人と接するときの性格とかって、あまり計算して作れないじゃないですか。アクションとかだったら、計算できると思うんですけどね。
演出の金谷さんをはじめ審査員の方々は自然体なありのままの僕を見たうえで選んでくださったので、僕はオーディションを受けたときの気持ちをそのまま持っていようと考えています。
動きだったり喋りだったりは稽古でたくさん勉強して、10段階中の10まで学んだとしますよね。それを本番では気持ちの面で「0」に戻すというか。そうやってステージに挑めたら、技術も伴っているうえに、審査員のみなさんが僕を選んでくださったときの気持ちや姿勢を、今度は観客みなさんにも感じてもらえるのではと思っています。
――勇者はどんなキャラクターですか?
“勇者”なので自分のなかに勇気を持っていることはもちろんですが、自然と周りの人がついてきてくれるというところも、キャラクターとしてすごく大事なところだと思います。
キャラクターのベースになっている勇者ロトは、原作ゲームでもみんなに助けてもらったうえで魔王を倒していますよね。「行くぞ!」っていう強い決断は勇者がすると思うんですが、そこには「勇者のことは俺が助けてやる」って思ってもらえるような、自然と周りに集まってきてくれる仲間たちがいる。勇者はそういう仲間に支えてもらったうえで、みんなを引っ張っていく感じのキャラクターとなっています。
想像を超えるスケールのなかで、自分が目指す姿に近づくためには
――日本で初めて制作されるアリーナショーということですが、初めはそのスケールも台本を読んだだけではピンと来なかったのでは?
最初はぜんっ…ぜんっ!!わからなかったです(笑)。
今は体育館などで稽古をするときに、実際のステージではここには何があるのかというのをテープで床に貼って示していて、それを見て想像しながら練習しています。あくまで自分の頭の中なんですけど、それでも稽古を毎日繰り返していくと、「今自分はここをこう動いているんだな」というようにだんだん形になって分かるようになってきています。
ただ実際本番が始まって、衣裳も着て音楽も映像も全部付いてってなると、もう規模がでかすぎるので(笑)。本物のステージは、自分が今の時点で想像しているものをはるかに超えてくるんだろうと思っているので、そのへんはやっぱり不安があるんですけど…、なので今は不安と楽しみが両方ありますね。
――観客1万人を相手にするうえで、演技をする際どんな工夫をしていますか?
自分の身体を最大限に使うことでしょうか。
本作はアリーナショーなので、メインステージから離れている席だと、どうしても舞台に立つキャストが小さく見えてしまうと思うんですよ。なので、距離がある席からでも僕の姿が大きく見えるように動きたいんです。
練習のときにそういう動作をしようと意識して自分の姿を鏡で確認すると、いやまだ足伸ばせるな、まだ腕伸ばせるなって分かります。伸ばしすぎたらもちろん変なので、そこのいちばん良いところを探して、自分にとって最大の動き方というのを大事に稽古をしています。
大きく動くことを意識しすぎてスピードが落ちてしまうなら、スピードを出したまま身体を動かせるように、といったことも意識しています。大きく動くこと、スピード感があること、この2つを同時にちゃんとこなすには、やっぱり練習しかないなって思っています。
何回も動きを稽古しているうちに、徐々にクオリティーが上がってきているのを感じています。これは僕自身がダンスをしてきた経験からなんですけど、本当にダンスがうまい人って、離れて観ていてもそれが分かるんですよね。映像で観ていても「この人すごいな」って伝わってくることありません? そんなふうにたくさん練習を積んで高いクオリティーで魅せられる人たちって、身体から熱量と一緒にそのクオリティーがグワッ!て出ていると思うんですよね。
あとはもう自分の感じたままの表現をしたいです。セリフやストーリーは決まっているわけですけど、全国5都市で公演していくなかで、そのときそのときちょっとずつ自分の感情は変わってくると思うんですよ。そこを嘘つかずにストーリーに沿って自分の感情を出せたら、今回のパーティのみんなと一緒に最高に熱くなれるんじゃないかなって思っています。
金谷さんのほんの小さな演出で、舞台がガラリと変わるんです
――演出家・金谷かほりさんのディレクションのなかで、すごいなと思ったことは?
ここ最近だと、モンスターの動きの演出が印象に残っています。今回は大きな会場なので、モンスターたちはやられたかやられてないかを動きで見せなきゃいけないわけですね。
そこで先日金谷さんが稽古の際にモンスター役の方たちに指導をされていたんですが、「斬られ終わったら止まって。で、そこで跳ねてみて」とか、本当にちょっとしたことだったんですよ。でもその演出が入っただけで、一気に世界がワァッ!って広がったんです。モンスターたちも、急にイキイキしだしたように見えて。ちょっともうそれを感じてもらうには「観に来てください!!」としか言えないんですけど(笑)。
周りは動いているなかで「じゃあ1人だけ止まってみようか」といった本当に些細な指示ですけど、そんなことで見え方がガラリと変わって。
そのときやっぱり演出家は見ているところが違ってすごいなと思いました。一体どんな頭してるんやろ!?って思いましたね。
――金谷さんと直接されたやりとりのなかでは、記憶に残っていることは?
詳しくは言えないんですけど、やっぱりラストシーンですね。そこの指導のときに、金谷さんが「もっと感情を込めて」って言われたんです。「松浦くんがその感情になっているのにお客さんはそれをなんとなく感じるくらいのものではなくて、そこでみんなが『うん、うん!』って松浦くんの感情に入ってくるような、そんな演技にしないといけないよ」って言われたときに、すごく深いなと感じました。
ほかには、本作は360度から見られるステージなので、普通だったら右を向かないところでも、「右向いて、それから左向いて」とか。あからさまにならない絶妙な加減で、会場中の人が見やすくなる演出はすごいなと。
――360度どこからも見られているっていうのは、通常の舞台と違ってまた大変なんじゃないでしょうか?
本当にそれは難しいです…。でも金谷さんのほんのちょっとした演出で、ものすごく変わるんですよ。
例えば、自分の後ろに敵がいるとして、あえて正面を見たまま1回セリフを言う。それからモンスターのほうを振り向く。そうやってセリフを話す方向と、そのあと動く方向を変えれば、1度に2つの演出ができるわけです。実は最初僕も「わざわざそんなことするんだな」って驚いたんですけど、客観的に観たときにすごくその演出に納得できたんです。
やっぱり演出家ってそういうところをちゃんと見て理解して、それで指示してくれてるんだなって感じたことでした。
――そこまで細やかな気遣いがあるということは、本作はどの座席からも同じように楽しむことができますね。
そうなんです! 今回のステージは島が11個あって、島と島が「ブリッジ」と呼ばれる吊り橋で繋がっています。
ブリッジは上下に可動もするので、高いとこが苦手じゃなくて良かったって気持ちでいっぱいです(笑)。
ほかにもステージの端から端まで移動したりもしますし。こんなに走らなあかんの!?っていうぐらい広い会場ですからね。…僕もう実際のステージを初めて見た日には、どうなっちゃうんだろうと想像がつきません。「まじかっ!?」って思わず言っちゃうんかな(笑)。
愛が詰まった温かいパーティなのを、日々感じています
――稽古場の雰囲気はいかがですか?
すごくいいです! パーティのみなさんが本当に優しくて。
本作では僕よりずっと先輩の方々ばかりなので、初めはどのように接したらいいのかなって考えたりもしました。「お前が座長だ」って言ってもらえるんですけど、その役をどう務めたらいいのかなと…。そんなことを迷っているときでもパーティのみなさんがすごく僕の気持ちをほぐしてくださるんです。
本当にみなさん温かい方々なんですよ。「まっちゃん、ご飯行こうよ」と声かけてくださったりもして。ヤンガス役の田尻(茂一)さんなんて、いっつもごちそうしてくれますもん。僕が田尻さんに「美味しい!」って言うたびに、(ガッツポーズを作って)田尻さんが「よっしゃ!」って言うんですよ。どんだけいい人やねん!って(笑)。
実際どこ連れて行ってもらっても美味いんで、「ここのハンバーグステーキ、ほんまに美味いですわー!」って言うと、田尻さん、毎回「よっしゃ! 嬉しいわ~!!」って心の底から思って言ってくれているのが分かるので、自分もあんなカッケー男になりたいなって思います。
――共演者の方とのやりとりで、何か印象に残っていることは?
みなさんが持つ『DQ』愛がめちゃめちゃ熱いんです。特にアリーナ役の中川(翔子)さんは『DQ』知識もたくさんお持ちなので、いろいろいな提案をしてくださって、みんなで「なるほどー!」って納得する場面がいっぱいあります。
ほかの方も「まっちゃん、ここどう思う? 僕はこう思うんだけど」と気軽に投げかけてくれるので、「僕もこう思ってるんです」って返してそこでセッションをしています。本当にみんなで創っていっているんだなって、日々実感しているところです。
「このメンバーで伝説のショーを創ろう!」っていう意識が、パーティのメンバーはもちろん、ダンサー、エアリアル、アクロバット、プロのクリエーターやスタッフのみなさん、本当に全員が抱いているのが伝わってくるんです。この現場はすごく愛がある現場だなって感じています。
僕はこんな大きな舞台は初めて立つんですけど、愛がある現場に出会えて本当に良かったなって思っています。そしてその分今度はみんなが「まっちゃんで良かったよ」と言ってもらえるような働きがしたいです。
そしてみんなの愛が、今度は『DQ』が大好きな観客の方たちに伝わったらいいなって思っています。
TEXT:木口すず(ヴァーンフリート)
>>今回のインタビューはここまで! 次回インタビュー最終回では、本作の大きな見どころであるアクションシーンや、稽古のより詳しい内容、松浦さんが練習時に意識していることなどについて伺っていきます。松浦さんの殺陣はレベル●からのスタートだった? みなさんにお願いしたい「●●厳禁!」とは? そして名付けについてのエピソードに込められた想いとは? 7月19日(月)お昼12:00にアップ予定なので、どうぞお楽しみに♪
DATA
ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー
さいたま公演:
2016年7月22日(金)~31日(日)さいたまスーパーアリーナ
福岡公演
8月5日(金)~7日(日) マリンメッセ福岡
名古屋公演
8月12日(金)~14日(日)名古屋 日本ガイシホール
大阪公演
8月18日(木)~22日(月) 大阪城ホール
横浜公演
8月26日(金)~31日(水) 横浜アリーナ
※8月29日休演
チケット料金:
S席 大人9,500円(税込)/子ども7,500円(税込)
A席 大人7,500円(税込)/子ども5,500円(税込)
※子ども料金は3歳~小学生までです。3歳未満でも席が必要な場合は有料です。
※機材やステージ・客席の構造等により、舞台の一部が見えにくい場合がありうます。
演出=金谷 かほり
ステージデザイン=レイ・ウィンクラー
衣裳デザイン=有村 淳(宝塚歌劇団)
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