interview

『くま クマ 熊 ベアー』4巻発売記念! 作者くまなのインタビュー!!

2016.08.09 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

ほのぼの面白いくまなのさんの創作秘話

ゲームは現実より楽しいですか? ──『YES。
現実世界に大切な人はいますか? ──『NO。

…オンラインゲームのアンケートに答えたつもりが、まさかの異世界(たぶん)に飛ばされた引きこもり歴3年の筋金入りのゲーマー、ユナ、15歳。最初に着せられてた装備は「クマセット」…って!? でも便利だから、まあいっか!

最恐クマ冒険者として異世界で名を馳せる、少女ユナの冒険ファンタジー小説『くま クマ 熊 ベアー』は、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿され、大人気を博し、その後、主婦と生活社PASH!ブックスから単行本化されている人気シリーズだ。

7月29日に最新4巻が発売になったばかりの『くま クマ 熊 ベアー』の作者・くまなのさんに、PASH!PLUSは初インタビューを敢行! 謎に包まれた新進気鋭の人気作家の素顔と、制作秘話に迫ります!

悪い子はあまり出したくない
前向きでポジティブなキャラクターづくり

──『くま クマ 熊 ベアー』(以下『くまクマ』)のお話は、どのように生まれたのでしょうか?

くまなの 実はかなり、その場の思いつきだったんです。最初、小説を書くんだったらファンタジー物がいいなと思ってて。この作品以前にも、女の子がパペットで戦うお話を書いて出版社に投稿したりしてたんですが、そのとき考えた設定を異世界に持ち込んだらどうなるだろうと思って『くまクマ』で使ってみました。でもそれだけじゃつまらないと思ったので、着ぐるみを着せたんです。着ぐるみを着た女の子が異世界に入るというシンプルなところからスタートしました。

──主人公のユナは15歳で引きこもりのゲーマーですよね。でも、株で大儲けしてるからお金はあって、引きこもりでも特に困っていないとか、独特のリアルさが面白いと思いました。

くまなの ありがとうございます(笑)。異世界モノって大まかにわけて、主人公が異世界に来たことを「嫌に思ってる」か、「楽しんでいる」かだと思うんです。どっちかというと自分は「異世界を楽しんでくれる」キャラクターのほうがいいなと思っていて。なので、より異世界を楽しめるようなキャラにするために、現実世界ではちょっと生きづらそうにしている設定しました。

──ユナのキャラクターについては、どのように作っていったのでしょうか?

くまなの うーん…。すごく考えて作った感じはないですね。前向きな性格で、現実に戻ることをよりも異世界を楽しもうとしているキャラクターにしたのが最初です。異世界に行った直後は、彼女自身、ゲーム感覚で楽しんでいますが、だんだんとまわりの人たちと仲良くなって、今ではその人たちのために頑張ろうという意識に変わっていってますね。性格的にはめんどくさがり屋で、でも「やるときはやる」みたいな感じの子にしています。あと、身内に対しては優しいとか。

──イラストを描かれている029さんとは、どんなやり取りをしているのでしょうか?

くまなの 029さんにはまず原稿を読んでいただき、わたしがメモしたイメージもお伝えして、それを絵にしてもらっています。細かい設定はあまりないので、具体的な部分はかなりおまかせしているので、上がってきたイラストを拝見して、いつも「おお~っ!」とかいって叫んでます(笑)。いまは029さんのイラストのおかげで、自分の中でもキャラクターの印象がずいぶん固まってきました。

──たくさんの魅力的なキャラクターが登場しますが、とくにお気に入りのキャラクターはいますか?

くまなの ユナです。やっぱりいちばん初めに考えたキャラクターですからね。しかもメインで動いているので、どうしても思い入れがあります。書いてるうちに重要なキャラになっていって、だんだんお気に入りになってきたのはフィナ(注:ユナが最初に出会う、家族思いの女の子)ですね。ユナとセットで好きです。ユナを慕っているところがたまらなくかわいい。

──フィナは、めちゃめちゃいい子ですよね!

くまなの ほんとにそうですよね。お金の心配したり、お母さんのために頑張ったり、自分は基本、物語の中にあまり悪い子は出したくないっていう思いがあるんですが、この子は特にいい子になりました。
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着ぐるみを着た主人公ユナと、フィナ。黒いクマがくまゆるで、白いクマはくまきゅうという名前。

主人公はくまの着ぐるみを着た少女。
奇想天外な着想のわけ

──モチーフを「クマ」にした理由は何ですか?

くまなの 昔から自分は、「クマ」ってペンネームをよく使っていたんですよ。本名とはまったく関係ないのですが。小さいころ好きだったのかもしれない。自分でも理由はよくわからないのですけど、ゲームで自分のキャラクターに名前を付けるときにも「クマ」って言葉を入れて、「クマキチ」とか「くまぽん」とかにしていたんです。その名残りだと思います(笑)。

──クマはクマでも、なぜ「着ぐるみ」にしようと思ったのでしょうか?

くまなの インパクト重視です(笑)。初めはパペットだけだったんですよ。右手の黒いのは攻撃力が強くて、左手の白いのは防御力が優れているという設定だけは最初にあって。でもそれだけじゃつまらなかったので、クマの服を着せてみることにしたら…最終的に今みたいになりました。

──キャラクターの名前は、どのようにして付けているのですか?

くまなの ユナはわりと、ぽんと付けた名前です。『くまクマ』はキャラクター名をカタカナでやりたいというのがありまして。それと、昔書いた小説に「優奈」というキャラクターを登場させていたので、そこから「ユナ」にしました。キャラクターの名前を決めるときは、初めのころは自分の本棚を見て考えていました。並んでいる漫画や小説のタイトルの一部をもじったり、取ったりして、付けていたんです。でも、それにも限界があるので、最近では『11カ国語ネーミング辞典』を使っています。自分の頭だけで考えようとすると、名前が同じになったり偏ったりするので。それでも知らず自分の好みが出てしまうようで、実は読者様から「同じ名前ですよ」って時々指摘されたりしています(笑)。

──読者からそういった指摘が来ることがあるんですね。

くまなの ストーリー展開なんかも、「次回はこうですね」って、予想を立ててくださる方がいらっしゃるんです。それが普通の場面だったら別にいいんですけど、敵の倒し方とかだったりすると「あっ、先に当てられちゃった!」みたいなこともある(笑)。

──展開を読者が当ててしまったりするわけですね。そういうときはどうされるのでしょうか。

くまなの 当てられたネタの逆をやりたくなるんですよ。思ったとおりにはやらないぞ、と。ただ、そんなにバリエーションもあるわけではないので、発売中の4巻のクラーケンの話を「なろう」に書いていたときには、後書き欄に「すみません、感想欄にクラーケンの倒し方を書かないでください」って書いた記憶があります(笑)。

──ストーリーについては、どのように考えて作っているのでしょうか?

くまなの 『くまクマ』は大きな目的があるわけではなく、毎回クエストを考えていく感じで作っています。特に「場所」については、とても意識しています。違う場所に行くと新しいことが起こるので、そこで新しいお話が書けますし。スキルや魔法などの設定についても、あらかじめ考えておいているわけではありません。そのとき書いている1話か2話くらい先のシーンで必要なものが出てきたら、じゃあこのあたりで新しいスキルを付けておくか、といった感じで進めています。たまに、50話先でその能力を使う場合もあったりしますけど。

──設定は、あまりガチガチに決めて進めているわけではないんですね。

くまなの できるだけ曖昧にしているんです。正確に「これ」っていうのを書かないようにしています。特にお金の設定は書いていません。それをやり始めると、すごく細かくなってしまうので。

──食べ物のエピソードが多いですが、くまなのさんご自身も食べるのがお好きなんですか?

くまなの ユナはとても食べ物に執着してますが、わたし自身は食に対してのこだわりがまったくないんですよ(笑)。なんでも食べられます。「絶対これが食べたい」とかもなければ、嫌いな食べ物もなくて…。

──意外です。食事シーンや調理するシーンが多くて、とてもおいしそうなので。

くまなの 調理法とか、調べながら書いてます(笑)。料理のシーンが多いのは、お話が作りやすいというのが大きな理由です。ずっと冒険続きでは書いているほうも疲れるし、読むのも疲れますし。構成として一呼吸がほしいときなどに、アクセントとして書かせていただいています。こういった日常的なエピソードがあると、自分も読者のときに楽しめたという思いがあるので、入れるようにしているんです。

「なろう」の形態は自分にとても合っていた
作家「くまなの」のアイディア手法

──話は変わりまして、そもそも『くまクマ』を最初に小説投稿サイト「小説家になろう」で発表したきっかけは何だったんでしょうか。

くまなの 普段からよくライトノベルとか小説を読むのですが、本屋さんで買った本を読んでいて面白いなあと思ったら、そこに「なろう」のことが書いてあったんです。それが出会いでした。こんなサイトがネットにあるんだって知って、じゃあわたしも書いてみようかなってことで始めました。
 最初はブックマーク(注:「なろう」で読者が気に入った小説を登録する機能)1,000を目指していました。

──発表してみて、読者の反応はいかがでしたか?

くまなの 投稿して1カ月後ぐらいから反響が出始めました。2014年10月に投稿を始めたら、11月の中旬、12月の頭とだんだんと読者が増えていって、翌年の1月に8,000ブックマークぐらいになり、出版のお話もいただいて、今に至るって感じです。

──「なろう」の小説はラノベともまた違うものだと思いますが、くまなのさんご自身は、「なろう」についてどう感じていますか?

くまなの すごく性に合っていると思います。やっぱり一話一話、区切って発表できるのがいいですよね。まとめて書いていると、設定が崩れていく場合もあるんですけど、1回の文字量が2,000~4,000文字ぐらいで短く区切ったかたちだと、そういったことが起きないんです。区切りよく書いていけるっていうのが、自分にはとてもよかったと思っています。

──お話はどのようなスタイルで生み出されているのでしょうか?

くまなの いつも、散歩しながらストーリーを考えています。そして浮かんできたら、家に帰ってから書く、といった感じですね。

──散歩しているときにアイディアが思いついたら、その場でメモを取ったり?

くまなの いえ、記録はしません。頭の中で思い浮かべたら、それを家まで持って帰って書いています。忘れたら忘れたで、仕方がないと思ってあきらめます。

──そうなんですか! もったいないなって思ってしまいそうです…。

くまなの 忘れたら、また違う道を探せばいいか、といった気持ちです。それに思いついたことをメモして帰っても、書き始めたらキャラクターがそのとおりに動いた試しがないので(笑)。ほかの作家さんが、あらかじめプロットを固めてから書くとおっしゃったりするのを聞くと、当初の予定どおりにストーリーが進んでいくなんて、と不思議でならないんですよねぇ。

──貴重なお話をありがとうございました。それでは最後に、PASH!PLUSの読者へメッセージを!

くまなの くまなのと申します。クマの着ぐるみの活躍する女の子の小説を書いております。今4巻が絶賛発売中で、これからまだまだ続きますので、ぜひ一度お時間のあるときに読んでください。よろしくお願いします。

DATA
くま クマ 熊 ベアー 4

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発売中
価格:1,296円(税込)
作者:くまなの
イラスト:029
出版社:主婦と生活社

STORY
最恐クマっ娘、鉄拳制裁!
はびこる悪は許さない!

王都からクリモニアに戻ったユナは、パンとプリンのレストラン「くまさんの憩いの店」をオープン。
順調なお店に暇をもてあましたユナは海に行こうと一念発起。
だけどそこは、トラブルメーカーのユナ。
行き着いた港町は、海の魔物クラーケンによる被害が。
米、味噌、醤油を手に入れるため、ユナは今日も戦う!
7,400万PV突破の超人気ウェブ小説、クマっ娘ユナの冒険物語第4弾!

 

くま クマ 熊 ベアー 4 (PASH!ブックス)

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