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『ヒプマイ』“MCバトル、レペゼン”ってなに?今さら聞けない疑問から韻を踏むコツまでラッパー・GOLBY氏がまるっと解決!

2018.09.26 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

【第1回】『ヒプノシスマイク』今さら聞けない疑問を本職ラッパーが解決!

 PASH!9月号(8月9日発売号)に掲載され大好評だったラッパー・GOLBY氏による『ヒプノシスマイク』の解説をPASH PLUSでは特別に連載でご紹介! 第1回目はMCバトルとは? レペゼンってなに? といった今さら聞けない疑問から韻を踏むコツまでラッパー・GOLBY氏がまるっと解決します。

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教えてくれるのはこの人!ラッパー・GOLBY氏

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 GOLBY(@GOLBY_TRINITY):唯一無二の堅いRhymeを武器に数々のMC BATTLEでその名を全国へ轟かせているMC。2015年「戦極MC BATTLE 第11章 関西無双編」王者、2018年「戦極MC BATTLE crossover」優勝。

【過去の記事はコチラ】

■『ヒプノシスマイク』PASH!9月号ではGOLBY氏がMCバトルの世界を解説!ラッパー目線の「Buster Bros!!! Generation」レビューも

■8月号掲載の『ヒプノシスマイク』ラッパ我リヤ、弥之助、KEN THE 390ら「Fling Posse VS 麻天狼」作詞家インタビューはコチラ

【第1回】『ヒプノシスマイク』今さら聞けない疑問!“MCバトル”ってなに?

 そもそもMCバトルってなに? ディスり合うってどういうこと? などなど、『ヒプマイ』からMCバトルの世界に足を踏み入れた方の疑問を解決すべく、ラッパー・GOLBY氏にお話をお伺いしました! 

――『ヒプノシスマイク』の印象はいかがでしょうか?

 まず、キャラ設定が分かりやすくていいなと思いました。生身の人間だとそこまで振り切れないのですが、キャラクターがラップを歌うことでバックボーンが付与されて、個性を表現しやすくなっているんですよね。そもそも近年の MCバトル自体、マンガやアニメっぽい世界観なんです。たとえば“大阪の誰々"とか“四天王"とか、アニメでよくありそうな名前や肩書きが多くて。

 なので、キャラクターとラップは相性がいいと感じました。あとは、キャストさんが声を扱うプロの方々なので、みなさんラップがとてもお上手ですよね。特に、抑揚のつけ方がさすがだな、と。抑揚をつけるためには歌声に感情を乗せなきゃいけないのですが、実は結構恥ずかしいんですよ(笑)。そのあたりは本当にすごいと思いました。

――よく「レぺゼン○○」(「○○地域を代表するという意)という言葉が使われますが、『ヒプノシスマイク』でも各ディビジョンの代表によりラップバトルが行われます。ラップにおいて地域性はどのくらい重要なものなのでしょうか?

 これが実はめちゃくちゃ重要で、MCバトルの最終的な勝敗にも関わってくるんです。たとえば、どう考えてもAのほうが上手なのに、武骨で不器用だけど背負っているものが重いBにどんどんお客さんが引き込まれてしまう、という瞬間があるんです。

 東京で行われる全国大会に地方から地元仲間を連れてバン1台で乗り込んでくることがあって。そういう彼らのバックボーンにお客さんが共感して、相手がいくら上手くて綺麗なことを言ってもまったく会場が沸かない状態になってしまうんです。小手先の技術だけでは勝てないのがMCバトルの面白さで、そういう仲間意識や青春ドラマみたいな面は、『ヒプノシスマイク』にも共通しているなと思いました。

――地域によってラップの特色があるのでしょうか?

 地域によって全然ちがいます。たとえば、沖縄のラッパーはみんな声が太いですし、自然を見て育っているので言葉の選び方に特徴がある、とか。地元にカリスマ性のあるラッパーがいて、その人の影響もあって自然と地域性が生まれ、レぺゼンという言葉が生まれてくるんです。

 ただ、東京には「東京」というカラーはあまりなくて、都内の各所によってスタイルがちがっていますね。その点『ヒプノシスマイク』は、各ディビジョンでそこまでスタイルの差はないのかな、と思いました。もしかしたら、各ディビジョンのリーダーがもともと同じチームだったからかもしれません。

――自分の生い立ちや個性をラップに乗せることもあるのでしょうか?

 基本はそうです。『ヒプノシスマイク』でいうと、独歩くんみたいなラッパーは日本に多いと思います。基本、ネガティブな人が多いんですよ。社会にうまくなじめないけど、ラップだけは自信がある…現実のラッパーも、そんな人たちが多い印象です。

――MCバトルでラッパー同士がディスり合っていますが、仲が悪いのかなど気になります。

 友達として仲は良いかもしれませんが、それぞれのスタイルを認め合っているわけではないという印象です。MCバトルは、基本的には相手のターンで最後に言った言葉を使って応酬していく、会話のなかで戦うイメージで、『BATTLE BATTLE BATTLE』での職業否定や人格否定は、めちゃくちゃよくあるディスり方ですね。相手が本当に尊敬しているラッパーだったら褒め合いつつディスることもあります。「お前のことすごいと思ってるけど、最近のお前はなんだ?」みたいな。

 あと、『ヒプノシスマイク』のMCバトルだと「セルフボースティング(自己賛辞)」といって、自分がどれだけカッコいいかを言い合う形式も多いですね。勝つことと会場を盛り上げることが大前提なので、時には傷つけ、時に褒め合い、どうしたら盛り上げられるかを意識しています。文系の喧嘩みたいなイメージでしょうか。たまに本当に仲が悪い人もいて、揉めている状態でMCバトルであたってしまうこともありますが、そういうときってお互い遠慮してうまくいかないことが多いんです。なので、実はお互いのことを分かり合ってるほうが面白いバトルになることが多い気がします。

 相手との相性がすごく大事で、実際の関係性がステージのうえでも反映されているんですよね。ちなみに、今はみんな仲いいですけど、数年前まではまったく仲がよくなかったですね(笑)。控室でも話さないし目も合わさない。でも毎週会って同じ気持ちを共有していると徐々に仲良くなってくるものなのだと思います。

――MCバトルをひとりでやることと、チームでやることのちがいや意義はあるのでしょうか?

 チームでやると、そのなかで会話しながらラップになるのでお互いに高め合うことができるのが強みだと思います。大体、若いときはどこかのクルー(チーム)に入り技術を磨き合って、そのなかで強いMCが有名になって、ちがう地域のトップMCと戦って…というパターンが多いんです。本当にバトルマンガみたいですよね。

 あと、MCバトルには「3on3」というチームで戦うものもあります。『ヒプノシスマイク』のバトル楽曲のラストで、バース(一行)ごとにキャラが入り混じっている感じはリアルにあります。即興だけど「この流れだとアイツはこう踏むかな」と想像してみんなで合わせる、そこでハマるとすごく盛り上がるのも、チームの魅力のひとつだと思います。

――最後に、日常生活で韻を踏むコツを教えてください!

 一番いいのは、日本語ラップをたくさん聴くこと。たくさん聴いて口ずさむようになると脳が“ラップ脳"になってくるんです。そうやって自分のなかに日本語ラップが浸透したら、まずは2文字でもいいので母音で踏むのがいいと思います。あとは恥ずかしさを捨てて振り切ることですね!僕も十何年やっていますがなかなか振り切るのは難しいです。

――MCバトルの勝敗はどのように決まるのでしょうか?

 審査員が評価の基準に従って勝敗を決める場合もありますが、基本的には会場のお客さんにゆだねられます。そのあたりは『ヒプノシスマイク』も実際のMCバトルと近いものがあると感じました。

――『ヒプノシスマイク』のなかで、GOLBYさんがMCバトルであたりたくないキャラ、反対に相性がよさそうなキャラはいますか?

 僕があたりたくないのは乱数くんですね。乱数くんは即興が得意そうな印象を受けましたが、ああいう若いノリで軽く流す感じが苦手で相性が悪そうです。実際に乱数くんタイプのMCもいますけど…あたったらいやだなぁ(笑)。相性が良さそうなのは一郎くん。彼は正統派なので、バトルが盛り上がりそうです。

 第2回目はラッパー目線による『麻天狼-音韻臨床-』各楽曲をレビューをお届けします!お楽しみに!!

(※PASH!2018年9月号より抜粋)

そのほか全アルバム楽曲のレビューも掲載!
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PASH! 2018年 09 月号 [雑誌]

■『ヒプノシスマイク –Division Rap Battle-』
公式サイト:http://hypnosismic.com/
公式Twitter:@hypnosismic

©King Record Co., Ltd.

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