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ぼる塾田辺さん×声優・岡本信彦さんが『ヒロアカ』のことから今注目のスイーツなどアツくトーク【第3回目】

2023.08.11 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 「ぼる塾」田辺智加さんが“推し活”を掘り下げる本連載に、第3回ゲストとして登場したのは、田辺さんと同様に食通で知られる岡本信彦さん! 『僕のヒーローアカデミア』や『青の祓魔師』のこと、今注目のスイーツなど、ふたりのアツいトークをたっぷりお届け!
(PASH!2023年4月号掲載に掲載されたものを再掲載しています。)

borujyuku

※題字:田辺さん

田辺さんが憧れるほどいじられ上手な岡本さん

田辺 私は12年ほど前にたまたま観た『世界一初恋』の木佐(翔太)さんで初めて岡本さんの声を聴いて、「なんて可愛い声!」と感じたんです。男性に対して可愛いと表現するのは失礼かもしれないのですが、それから岡本さんのことが好きになって。

岡本 ありがとうございます、うれしいです。『世界一初恋』、いい作品ですよね。僕も演じていてめちゃくちゃ楽しかったです。

田辺 その当時、私はBLというジャンルをまったく知らなくて、本当にたまたま観ていたんですよね。もう、すごく衝撃でした。この感情はなんだろう…と。その後、岡本さんが出演されているいろいろな作品を観て、ラジオを聴いたり、イベントを観たりもするようになりました。

 共演者の方とのやり取りを見ていると、岡本さんは皆さんからいじられ上手といいますか、すごく愛されているなと感じるんですよ。いじられるって実はけっこう難しいことで、ムキになって返すと笑いにならなくなるものですが、岡本さんはいじられていても愛嬌があって、だからこそ皆さんに愛されるのかなと思っています。そういう愛嬌は昔からあったものなのでしょうか?

岡本 芸人さんの田辺さんにいじられ上手と言っていただけて恐縮です。実は僕、子どものころは自己肯定感がめちゃくちゃ低かったんです。でも、「アニメという自分が好きなものに関しては頑張りたい」という気持ちから、少しずつ自己肯定感が高められていきました。もともと「自分はあまりすごくない」という意識があったがゆえに、何を言われてもプライドが傷つかないのかもしれません(笑)。

田辺 そこが素晴らしいです。私はいじられるとすぐムキになってしまって、あとから「つまらないことを言っちゃったな…」と思うことも多いんですよ。だから、私も岡本さんのような心持ちでありたいです。

岡本 芸人さんがいじられて怒るのって、わざとプロレスをしていると思っていました!

田辺 (ものすごい勢いで首を横に振りながら)違うんです、あれはだいたいガチでやり合っています! だから、いじられるってすごいことなんですよ。そういう部分でも、私は岡本さんのことを尊敬しています。

岡本 声優業界でいうと、浪川大輔さんがめちゃくちゃいじられ上手なんです(笑)。そして下野 紘さんと小野大輔さんも。この3人は僕のなかで〝声優業界最強のいじられ軍団〟だと思っています。後輩からすると、いじってもいいという先輩がいらっしゃるととても心強くて。

 例えば、シリアスな雰囲気の作品だとキャスト登壇イベントもあまり面白おかしくはできないことが多いのですが、そういう方がいらっしゃると柔らかな空気感が生まれたりするんです。その感じがいいなと思いますし、僕もそういう存在になりたいと思っています。

「好きなものがない」という人へのふたりからのエール

田辺 岡本さんは熱血なキャラクターを多く演じられていますが、ご自身にもそういう部分はあるのでしょうか?

岡本 根底にはあるのかもしれないですが、学生時代とかはそれほどアツい人間ではなかったです。どちらかというと、『BLEACH』の市丸ギンみたいなキャラクターに憧れていて、本気を出さずして余裕の状態で大会に勝ちたいと思うタイプでした。めちゃくちゃ中二病な、熱血とはまるで違う学生生活を過ごしていました(笑)。

田辺 それは少し意外でした…! 岡本さんは、将棋やお肉、チョコレートなど、好きなものを貫いているという印象も強いですが、そういう部分に熱血な要素があったりされますか?

岡本 やっぱり何か好きなものが見つかった瞬間はうれしいです。ファンの方々から「好きなものがありません」というお悩み相談をいただくことがよくあるのですが、僕としてはまず何かを見つけてほしいなと思うんです。僕はたまたまバドミントンや将棋、チョコレートやお肉に出会いましたが、それを探求するうちに、先輩から「そういえば、あれが好きなんだっけ?」と聞かれたり、それをきっかけに会話がどんどん広がっていくんです。

 「好きなものがない」という方は、慎重でちょっと怖がりなのかなと思うのですが、一歩踏み出したら新しい世界がいっぱい広がっているから、ぜひ勇気を出して踏み出してみてほしいなと常々思っています。それが熱血なのかはわからないですけどね(笑)。

田辺 それは私もとても共感します! 私も好きなものにあふれた人生なので。好きなものを見つけるって大変だけど、例えば友達から好きなモノのプレゼンを受けたときは、わからなくても一度飛び込んでみるのがいいと思うんですよね。私はそうするようにしています。

岡本 そうですよね。ライブやイベントについても、よく「今回は行けないですが、いつか行ってみたい」というお便りやリプをいただくことがあるのですが、いつかと言わずにぜひ観に来てほしいなと思います。

 今は生配信など家でも楽しめるエンタメが多いですが、だからこそ〝生感〟を感じに来てほしいなと。それこそ、芸人さんのライブもTVで観るのと実際に劇場で観るのとは、臨場感がまるで違いそうです。

田辺 全然違いますよ! 劇場だと、TVでは全部カットされそうな大スベりも観られますから!

岡本 そっち方面の臨場感なんですね!(笑)

挫折と成長と葛藤を繰り返す爆豪勝己というキャラクター

田辺 岡本さんは今までたくさんのキャラクターを演じてきたと思うのですが、なかでも難しいと感じる役はありますか?

岡本 個人的に一番難しいのは、やっぱり『僕のヒーローアカデミア』の爆豪(勝己)です。ずっと「死ね」「クソが」と言っていますが、ステレオタイプのいじめっ子キャラではまったくなく、挫折しまくるんです。爆豪は、僕とは逆で自己肯定感がもともと高い人ですし、承認欲求もめちゃくちゃあって。それも、人からではなく、自分で認められないと自信を持てないという形の欲求で。そんななかで、緑谷出久(デク)がどんどん成長するのを見ていると、プライドがバキバキに割れていくんです。それを拾い集めてもう一度積み上げるという表現が、もうめちゃくちゃ難しくて。壊しまくるし、もう一度積み上げるときは前より高く積み上げなくちゃいけないし、それでもデクに追いつかないという葛藤もある。もちろん、本人は口が裂けても「追いつかない」なんて言わないですけど。そういうかっちゃんの姿を俯瞰で見ていると、本当にかわいそうになってくるんです。演じるたびに悔しさがどんどんあふれ出てくると言いますか。演じているうちに自然と涙が出そうになってしまいます。

6期_爆豪_OK

爆豪勝己
主人公・緑谷出久(デク)の幼馴染みで知力、体力、戦闘センス抜群の自信家。上昇志向が強く「自分がNo.1ヒーローになる」という確固たる信念を持つ。“個性”は、掌の汗腺からニトロのような汗を出し爆発させる「爆破」。

田辺 わかります…。実は私、『ヒロアカ』は、最初を見逃してしまい長らく観ていなかったのですが、(お笑いコンビ「おかずクラブ」の)オカリナさんから数年にわたり布教を受けまして。無事に、アニメと漫画の両方で最新話に追い着きました。昨年放送された「爆豪勝己:ライジング」(アニメ第122話)は本当に泣きましたし、放送当時はオカリナさんも楽屋でずっと爆豪の話をしていましたね。アニメとして声が入ると、より爆豪の気持ちが伝わってきて…。声優さんのお仕事って本当にすごいなと、改めて感じました。

岡本 『ヒロアカ』は数々の作品のなかでも特に現場の熱量が高いんです。音響監督の三間雅文さんが一瞬の隙も許さないストイックな方で、ちょっとでも違うとOKが出るまで何十回もテイクを重ねるんです。劇場版のときは、僕と(デク役の)山下大輝くん、ゲストキャラクターの方ふたりというたった4人の収録に、10時間ぐらいかかりました。喉から血が出るほど叫んだのはあれが最後ですかね。
田辺 喉から血…過酷ですね…! それくらい叫ぶと、声が変わったりはしないですか?

岡本 やっぱり「そんなにハスキーな声だったっけ?」と言われることもあります。でも、そこでも浪川イズムにあやかって、「その日のコンディションが地声なんだ」と思うようにしています(笑)。エンターテイメントや芸術の分野って自問自答をすると答えが出ないことも多いので、あまり気に病みすぎると身体を蝕みそうな気がしていて。

 だから、どうしようもないことや考えても答えが出ないことはあまり考えずに、綺麗事や希望的観測で動くのがいいのかなと、ポジティブに捉えるようにしているんです。例えば、『ゴーストハント』のジョン・ブラウンという役は僕が初めて担当したメインキャラクターなのですが、あの若干の棒読み感があるピュアな芝居は、今ではもう難しいと思います。今やるとどうしても「ちょっと可愛くしよう」みたいなものが出てしまうので。でも、それはそれでいいのかなと。

田辺 その瞬間その瞬間だからこそできるお芝居なんですね…!

新作の制作も決まった『青の祓魔師』の魅力

田辺 私は『青の祓魔師』も大好きなんです。アニメ第1期が放送されたころ、私はちょうど働いてない時期で。何をしたらいいかわからなくて不安ばかりの毎日だったんですけれど、そんなときに支えになってくれたのが『青エク』でした。当時はもう、ずっと『青エク』のことばかり考えていましたね。岡本さんは、演じる奥村 燐の魅力はどんなところにあると思いますか?

岡本 彼の魅力は天真爛漫なところだと思うんです。猪突猛進でどんどん突き進んでいくあのエネルギー。それって大人になるとなくなってくるものという気がするんです。蛮勇に近いものなのかもしれないけど、そうやって前に歩き出す力が観ている人たちに活力を与えてくれるのかなと。

 なので、芝居に関しても当時からそういう気持ちで演じようと思っていました。彼自身まだ発展途上ですが、いろいろなことに悩みながらも「そんなもの知ったことか!」と前進するところが爽快で気持ちいいキャラクターだと思います。

田辺 私もまさに燐のその性格から生きる活力をもらっていました。最近はあまりジャンプフェスタにも行けていなかったのですが、昨年のジャンフェスで新作アニメの制作が発表されたときは、SNSのトレンドでアニメの新シリーズ制作決定を知り「『青エク』がまた観られるんだ! また私の生きる活力になる!」と大興奮でした。

岡本 僕も時を経てまた燐を演じられることがうれしかったです。ぜひ、今度は田辺さんからオカリナさんへ『青エク』を逆布教してください!(笑)「ジャンフェス」で久しぶりに(奥村雪男役)福山 潤さんや(杜山しえみ役)花澤香菜さん、(神木出雲役)喜多村英梨さんと掛け合いのセリフをやったのも、懐かしさとうれしさが同時にこみあげてきて感動しました。…というか、田辺さん、ジャンフェスに行かれたことがあるんですか?

田辺 あります、あります。それこそ、岡本さんのステージを観に。何時間も並んで入りました。実は一度、私の目の前を岡本さんがサッと通られたことがあるんですよ。あのときは「キャッ!」となりました(照)。

岡本 えぇ!? そうだったんですかぇ!?(笑)

食通のふたりが今注目するチョコレートはぇ!?

田辺 岡本さんが最近食べて美味しかったチョコレートを教えてください。

岡本 「サロン・デュ・ショコラ2023(1月~2月に開催されたチョコレートの祭典)」のオンライン販売で、「クリスチャン・カンプリニ」と「アルバン・ギルメ」のチョコを購入しました。なかでも「アルバン・ギルメ」のチョコレートサブレがめちゃくちゃ美味しくて、ハマってしまいました。最近はサブレのブームが来ている気がします。

田辺 わかります! 私も今、サブレに注目していまして。

岡本 田辺さんはどこのサブレがお好きなんですか?

田辺 私は「フィリップ・ベル」です。サブレとチョコレートが一緒になったものが、すごく美味しいんですよ。

岡本 「フィリップ・ベル」、いいですよね! ぜひ「アルバン・ギルメ」のサブレも食べてみてほしいです。

田辺 私もチョコレートが大好きなのですが、実は味の違いが明確にわからなくて。それぞれの個性をうまく言い表せないので、チョコレートの食レポを連続でやる仕事は私には難しいと思っています。岡本さんも美味しい物好きとして味の感想を求められることも多いと思いますが、困ることはないですか?

岡本 確かに味の違いを言葉で表現するのって難しいですよね。以前、チョコレートを食べるというイベントがあったのですが、そのときは比喩表現を駆使して頑張りました。「可憐な少女が見えます」とか(笑)。

田辺 そういう語彙力、素敵ですね! 私は表現のレパートリーがとても少なくて…。「チョコレートが好きなら言えるでしょ?」と思われがちなんですけれど、好きだからこそ難しいですよね。

岡本 語彙力って難しいなと思います。チョコレートもそうですし、ワインや日本酒も、いろいろな言葉を使って味を説明している文章を見ると、毎回「これを書いた人は天才だな…!」と思います。

田辺 でも、さすが岡本さん、チョコレートにお詳しいです。

岡本 やっぱり好きなんですよね。お肉とチョコレートはかなり頑張って勉強しました。

田辺 お肉を好きになったきっかけはなんだったんですか?

岡本 2015年ごろ、めったに予約が取れない人気の焼肉店へプロデューサーが連れて行ってくれて。そのときに食べたお肉がめちゃくちゃ美味しかったんです。「この世にはこんなにも美味しいものがあるのか…!」と思い、それからいろいろなお店に行くようになりました。食べログランキング上位のお店を1位から順番に行ってみたりとか。でもやっぱり人気のお店は行くのが大変で。どこからお店に繋がっていけばいいかわからず、あの手この手を使って行った気がします。

田辺 すごい…! お肉のお話を聞いていたらお腹がすいてきてしまいました(笑)。

岡本 僕は田辺さんを今をときめく女性芸人さんのひとりだと思っていて、アニメが好きという印象が実はなかったんです。でもお話をしてみて、ジャンフェスに通っていたり、作品やイベントもたくさん観てくださっていたんだと知って。アニメ好きだったという歴史をすごく感じました! 今日は本当にありがとうございました!

田辺 10年以上前にたまたまアニメで知って以来ずっと憧れていた岡本さんと、こうしてお話できてうれしかったです。いつも素晴らしい作品をありがとうございます。これからも変わらず応援しています!

田辺智加
たなべ・ちか 吉本興業東京本社所属。4人組お笑いグループ。「ぼる塾」のボケ担当。「まぁねー」という持ちネタで人気を集めるほか、アニメやスイーツなどの趣味を活かした活動も積極的に行っている。

岡本信彦
かもと・のぶひこ ラクーンドッグ所属。2006年の声優デビュー以来、熱血な主人公キャラクターや危険な魅力を放つ敵キャラクターなど、幅広い役柄を好演。最近の主な出演作:『青の祓魔師』奥村 燐役、『僕のヒーローアカデミア』爆豪勝己役 ほか

(PASH!2023年4月号掲載に掲載されたものを再掲載しています。)

©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

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