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『グランブルーファンタジー』の音楽と美術の底力を体感する。すべての騎空士の心に刺さる「GRANBLUE FANTASY ORCHESTRA -SYMPHONY IN BLUE-」レポート

2024.10.05 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

第2部:プレイした時の興奮を超えていく渾身の演奏を「見る」

 コンサート第2部はシナリオイベントや最新のバトルコンテンツなどにもフォーカスした内容。まずは、8周年記念シナリオイベント「星のおとし子、空のいとし子」より『命のカタチ』、7周年記念シナリオイベント「STAY MOON」より『Last Advent』が演奏されます。

 『グラブル』の世界を、星晶獣や調停者の視点から描いた点も印象的だった「星のおとし子、空のいとし子」。原曲でもピアノが印象的ですが、生演奏ではさらに存在感が際立ち、星晶獣の神秘性を感じさせる一方で、神秘である故の彼らの孤独も思わせます。

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 数々の思惑と策謀がうねりを上げながら結末へと向かう「組織」の物語を描いた「STAY MOON」を象徴する『Last Advent』は、管楽器が刻む特徴的なリズムが無機質で得体のしれない「月」と「機関」の不気味さと緊迫感、そしてそこへと向かう高揚感を与えます。そして後半に差し掛かると、多数の登場人物とその戦いが映し出され、オーケストラの演奏も熱がこもったものに。長きにわたる一大スペクタクルを言葉を使わずに表現しきっており、アドレナリンの分泌を感じる1曲です。

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 MCを挟んで最新コンテンツからの演奏楽曲として発表されたのは、『ユグドラシル・アルボスマグナ』『Dragon’s Circle -Hexachromatic-』の2曲。マルチバトル「ユグドラシル・アルボスマグナ」戦BGMである『ユグドラシル・アルボスマグナ』は、ドラマチックさを重視した楽曲とのこと。ハープやフルートがより強調されたメロディは、見ているだけで癒されるようなユグドラシルの姿を表現するよう。また、演奏の中には、万象を見つめてきた存在の切なさを現すような儚げな印象も漂います。

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 続く『Dragon’s Circle -Hexachromatic-』は、高難易度マルチバトル「天元たる六色の理」戦のBGM。現状の最高難度コンテンツのひとつであり、参加はもちろんのこと、討伐ができようとも音楽に聞き入ることが難しい手強い相手。今回のように腰を据えてその音楽を堪能できるというのは貴重な機会です。

  前提として、『Dragon’s Circle -Hexachromatic-』は原曲では電子音やバンドサウンドが使われている「六竜」それぞれの戦闘BGMがエッセンスになっていることから、非常に奥行きを感じる1曲となっており、これがオーケストラサウンドで表現されるというのだから、「音に威圧される」とすら感じる演奏にも納得というところ。六つの楔と相対することを表すような目まぐるしく変わるメロディもさることながら、六竜がこちらに襲い来るようなビジュアル、勇猛さ以上に緊迫感が増す最終局面のパートは彼らが超越した存在であることを否応なしに感じさせます。

 第2部も終盤に差し掛かっての演目は、成田さん曰く『大星晶獣との戦い』のアレンジ楽曲でもあるという、10周年記念シナリオイベント「HEART OF THE SUN」フェニックス戦BGMの『天と光、死と生』。豪華なオーケストラサウンドにより壮大さが増した本楽曲は10周年にふさわしい内容となっています。聞き覚えがありながらも確かに違うものと感じられる旋律は、姿は変わらずとも超常の存在に少しずつ足を踏み入れていく主人公たちのよう。クライマックスに凛として佇む姿は、思わず当時のイベント内での感動を思い起こさずにはいられない光景です。その後の第2部最後のMCでは、星野さんが「アレ」と何かを示唆。この先の展開に期待が高まります。

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 そして始まる最終楽曲は、シナリオイベント「ロボミ」BGMの『ロボミ』! 指揮者の栗田博文さんが観客に手拍子を促すと会場全体で本楽曲を楽しみます。金管楽器の音色を中心とした勇ましいメロディは、往年のロボットアニメの音楽の熱さを感じさせます。ユーザーにはなじみ深い壊獣の貴重なアートも大写しとなり、騎空士としてこれまでの演目とはまた違った方向で嬉しくなる光景です。

 そして、「ロボミ」シリーズはロボットアニメ的演出もさることながら、母子、兄弟、親子、そしてそれを取り巻く人々……と家族を描く物語であることも魅力のひとつ。10周年を祝うオーケストライベントの第2部のフィナーレが会場全体で楽しむ『ロボミ』であることにも、ある種のメッセージを感じます。

 そして、第2部を締めくくる力強い演奏は、会場全体の大きな「ブラボー!」との声と拍手により締めくくられた…ように見えました。

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