【ホロライブ】星街すいせいライブツアー千秋楽! 福岡サンパレスに煌めいた彗星、そして超新星を目指す「Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 “Spectra of Nova”」ライブレポート
2024.12.30 <PASH! PLUS>
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カバーの女性VTuberグループ「ホロライブ」所属・星街すいせいによる初のライブツアー「Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 “Spectra of Nova”」の福岡公演が2024年12月28日(土)に福岡サンパレスにて開催されました。本記事ではそのライブレポートをお届けします。
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福岡サンパレスに煌めいた彗星、そして超新星を目指す「#かけめぐるほしまち」「Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 “Spectra of Nova”」ライブレポート
12月28日(土)、ホロライブの星街すいせいによるライブツアー「Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 “Spectra of Nova”」の3回目の公演が福岡サンパレスで行われた。さいたまスーパーアリーナ、大阪舞洲おおきにアリーナと大きな舞台に立った彼女の千秋楽はもちろん満員御礼。Xのハッシュタグ「#かけめぐるほしまち」も大盛りあがりだった。
今回とても印象的だったのは、星街すいせいが観客との距離が近いと喜んで、会場の様子を見ながらはしゃいでいたことだった。観客をじっくり見ながらその姿をいじる彼女の様子は、VTuber・バーチャルアイドルライブとしてはかなり重要なアクションだ。というのも「実際にそこに存在していて、生きて、見ている」という証明だからだ。
彼女の盟友ともいえる「不知火建設」のメンバーもゲストで訪れ大盛りあがりだった今回のステージの様子をお伝えしたい。
今回の福岡サンパレス会場では、少し変わった左右の壁の使い方をしていた。基本的にはなにもない壁なのだが、そこにプロジェクターで拡大映像を投写しており、後方の人でもアップで見られるような工夫がされていたのだ。ディスプレイを使わずとも全員が隅々まで楽しめる粋なはからいだ。
1曲目は今回も「駆けろ」でスタート。場内の温度をあげるのに持って来いの曲だ。ひし形スクリーンやレーザーなどステージの構造や物理ギミックは今までの会場と同様凝ったものになっており、その光がいい具合に会場の色合いを変えていた。天井や両壁に光が当たっているため、巨大さの印象が強いアリーナ会場とまた違った趣があり、会場の観客も配信でみた人も新鮮な感覚を味わえたと思う。
2曲目は「バイバイレイニー」。3公演すべて2曲目からセトリが違う(さいたまは「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」、舞洲は「先駆者」)というのは、こだわりなのだろう。
それにしても星街すいせいの、会場の空気を掴む力には目を見張るものがある。ミドルテンポのこの曲で、「駆けろ」でぶち上げたノリを逃すことなく、しっかり軌道に乗せて熱をちょうどいい塩梅に保つパフォーマンスを魅せてくれた。会場のペンライトが前後の揺れから横揺れに変化していたのは、彼女が導いたからだ。ステージと観客が、2曲目にして一体となった。
会場がレーザーの光りに包まれてから歌い始めたのが3曲目、先日出たばかりの新曲「AWAKE」だ。クラブミュージック調のアップテンポなナンバーで、MVではギャル感がとても強い作品だった。今回会場で披露されたこちらの曲は、そのシティガール感は活かしつつも、かなりエモーショナル度強めな作品として披露されているので、是非観比べてみて欲しい。
このあとのMCではおなじみ「すいちゃんはー」「今日もかわいい!」というコール&レスポンスが入って、すっかり和やかな雰囲気に早変わり。新しいアルバムの話もゆるめに紹介。そして今回のバズワード「星街すいせい 210円」についても触れて、会場やコメント欄を笑わせていた。
星街すいせい 210円
— 星街すいせい??ホロライブ0期生 (@suisei_hosimati) December 28, 2024
これは博多駅で行き先の駅名に「星街すいせい」と書かれていたのが元ネタ。あえて会場名で表記されておらず、彼女の名前がデカデカと書かれているのは、係員の粋なネタのようにも感じられる。少なくともXでバズったこの事実について、本人と観客はとても喜んでいるようだった。また今回協賛でコラボ商品を出している明太子屋の「ふくや」の直営店である空港店や地下街店などでは「星詠み(星街すいせいのファンネーム)のみなさま ようこそ福岡へ」というキャッチコピーが掲げられていたという。遠方から訪れたファンにはたまらない心遣いだ。
そのあとの4曲目は「NEXT COLOR PLANET」。彼女の代表曲のひとつでありつつ、今回のツアーでは初披露の楽曲だ。曲調は星街すいせいのアイドル色強め。おなじみのお姫様と王子様がうまくミックスされたようなステージ衣装での登場だ。会場は一気にハッピーな空気に包まれる。
そのまま流れるように「Starry Jet」へと続く。「Starry Jet」は今回のツアーで毎回メドレー形式で披露されている、星街すいせいの中でも屈指のノリの良いハッピーチューン。手拍子のコール&レスポンスも定番になっており、今回も大盛りあがり。会場のファンがピタッとそろう様子は、配信で見ていても大変気持ちがいい。
続く6曲目「Run or Run」は、イントロでテンションのあがったファンも多いだろう。これは「不知火建設」という、星街すいせいが属しているグループの楽曲だからだ。もちろん今回のツアーでは初出。元々は「Minecraft」で一緒に遊んでいた仲間だったが、次第にチームとしての活動が活発化し、今では楽曲を出したり「しらないこと研究会」という公式パロディ漫画が連載するほどの人気ユニットになっている。
「不知火建設」として登壇したのは、不知火フレア、尾丸ポルカ、さくらみこ、白銀ノエル、そして星街すいせいの5人。星街すいせいのボーカルにあわせて一人ずつバーチャルなエフェクトと共に登場し、歌いはじめる演出は否が応でも観ていてテンションがあがる。会場は割れんばかりの歓声が響き渡った。
声が重なっていく曲は非常にかっこいいものの、やはり5人揃うと仲の良さで気持ちがほぐれるからなのか、がに股で大騒ぎするなどいつもどおりの朗らかな空気に早変わり。そして決めポーズはバタバタしてどうにもきちんと揃わない。これにはファンもにっこり。
メンバーの唯一の、九州出身の白銀ノエルが福岡のローカルCMネタを披露したところ、会場は大盛りあがり。一方メンバーはぽかーん。ライブツアーならではの楽しいパートだ。九州方面の人はアーカイブをチェックしてみてほしい。
続けて「不知火建設」全員で「しらないファンタスティックワールド」を披露。かわいく明るく楽しい「不知火建設」のイメージにぴったりな曲を、ぴったり揃ったダンスで見せてくれた。
「不知火建設」は2025年2月9日(日)に「不知火建設社員総会」というイベントを「ベルサール羽田空港」ホールA・Bにて開催予定だ。参加する方はメンバーが配信で言っていたとおり、スーツ姿で赴くべし。
このあとは衣装チェンジをして、アーティスト星街すいせいの一面が観られるパートに移行する。情熱的なキラーチューン「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」が歌われると、先程のほんわかした空気から一転、会場はアッパーな盛り上がりを見せた。ステージに吹き出す炎、お面をかぶり傘を振りかざす不思議なダンサー、パワーあふれる星街すいせいのボーカルで、ペンライトの色のみならず、会場の空気全体が真っ赤に染まったかのようだった。
流れるように次の曲「7days」へと移行する。大人びたメロディが魅力的なこの作品が歌われると、会場の色が赤から一気に青へと変化したのもピタリと揃っていて圧巻だった。ムードが大事なこの曲を、情感豊かに歌う星街すいせい。一通りだけではない多様な感情が包含されているこの作品は、彼女の表現者としての深みを感じさせてくれた。
ここからミュージシャンとのコラボ楽曲が続く。「ネバーフィクション」はさいたまスーパーアリーナでも披露された楽曲で、作曲家kanariaとの作品だ。ボーカルのテクニックが求められるしっとりした曲を、余裕すら感じられるような豊かな表現力で歌い上げていた。
MCで「あるアパートで生まれた曲」として紹介されたのが「なんもない」。これもツアー全てで歌われた曲で、「どこかにある六畳半アパートの、各部屋の住人の歌」をコンセプトにしたMAISONdesによるもの。映画「トラペジウム」の主題歌でもあるこの曲は星街すいせいとしては珍しい、ネガティブな哀しみあふれる作品で、何も手にしていない空虚な悲しみを表した作品だ。しかしそこはやはり大舞台に立っている星街すいせい。悲哀の中に生まれる輝きを、歌声の美しさの中でほのかに光らせていた。
ここから彼女の代表曲ともいえる、強い生き方が表現された作品へと移行する。
満を持して歌われた「ビビデバ」。YouTubeで一億回以上の再生数を記録した大ヒット曲だ。サビで新衣装に瞬間的に着替える様子は、何度見てもゾクリとさせられる。そもそも「ビビデバ」はシンデレラのようなお姫様にならず、自分の力で前に進んでいく曲だ。それにあわせたような、かわいさを持ちつつもかっこよさ抜群の、突き進むアイドル像がよく現れている衣装は、今の星街すいせいを見事に表現している。この衣装を現地で観るため、今までネタバレを避けて我慢していたファンも多かったようだ。
分身ダンサーのキュートさ。キャッチーでノリやすいメロディライン。サビのコール&レスポンス。心の底から楽しそうに歌いパフォーマンスする星街すいせいの姿。会場のボルテージはマックスで、ところどころで映された観客の熱狂の様子も印象的だった。
極限まであったまった空気をクールダウンするようにバラード曲パートへと移っていく。「Andromeda」はアカペラからスタートする曲で、会場が無音になってから歌声が入っていく様子にはゾクリとさせられる。彼女の歌唱力の高さが如実に感じられる作品だ。じわじわとサビに向けて高まる静かな熱も心地が良い。
「放送室」「綺麗事」と夜の空気を感じさせるような作品が続く。いずれもここまでのアッパーな曲とテイストは異なるが、込められている感情の深みは同等、あるいはそれ以上のものだ。パワフルな曲が目立つ彼女だが、これらの少し静かな、でも火傷しそうな感情の熱があふれる楽曲群の表現は目を見張るものがある。本人も今回のツアーでかなり意識しているのを語っていたが、かわいいアイドルとしての姿、情熱的アーティストとしての姿、感情をじっくりこめて表現する者としての姿、それぞれすべてが星街すいせいであるのを感じさせてくれた。
「綺麗事」は福岡で初披露した、星街すいせいが作曲をした作品。「諦めるな、といっても綺麗事かな。綺麗事言いたくないけど、でも諦めてほしくない。綺麗事を吐くその口が嫌いだから、歌を歌います、という曲になっています」と本人は曲について解説している。元々個人活動で、続けるかどうか悩んでいたくらいの彼女が、これだけ大きなライブツアーをできるレベルまで上り詰めたからこそ、この歌には説得力がある。
今回のライブツアーのキモともいえるのが、この次に歌われる「GHOST」。星街すいせいが作詞したこの曲は、バーチャルな存在の叫びの作品だ。今でこそVTuberは広く知られるようになったものの、まだまだ「なんだこれ」から脱却しきれていない。ボタンひとつで歌ったり踊ったりしているんじゃないかと疑われてしまうことに対して、血の滲むような努力を現在進行形で続けている彼女は「いるぞ!見えないのか私が!」と訴え続けている。
今回の星街すいせいライブツアーの規模は、ひとりのバーチャルアーティストのライブとしてはあまりにも大きい。このライブ自体がバーチャルな存在が「いるぞ!」と証明してきたのは、間違いない。話題になった「星街すいせい 210円」と貼り出されたのは冗談として語られていたが、アーティストとして彼女が存在していることを認めていなければ、こうは書かなかったはずだ。
「GHOST」は歌われる度に、聴こえ方が異なるように感じられる曲だ。筆者には、今回の「GHOST」は観客の、コメント欄の皆に届いている手応えと充実感を得ている歌声に聴こえたが、他の人が聴いたらどう感じるのだろうか。もしかしたらまだ届いていない層に向けているのかもしれないし、これからの歩みに対する決意表明かもしれない。実際に聴いて、自分なりの「GHOST」を感じて欲しい。
クライマックスはもちろん、ハッピー全開の曲「ソワレ」。星街すいせいもノリノリで両手を振る。サビの気持ちいい晴れやかさと華やかさは、彼女の楽曲の中でもトップクラスだ。そして、曲の複雑さもトップクラスだ。一般的にはクライマックスに持ってくるタイプの曲ではないレベルに難しいこの曲に観客全員を乗せてしまうのだから、星街すいせいの歌を楽しむ力はすさまじい。
会場に対しての「聞かせて!」という呼びかけ、そして答える観客の声。先程の「GHOST」を聞いた後だと、普通のコール&レスポンスと意味の深みがちょっと変わってくる。バーチャルに存在する星街すいせいと、リアルに存在する観客が、声を交わし存在を確認し合うという体験をしているのだ。
アンコール1曲目は「天球、彗星は夜を跨いで」。ホロライブ所属になる前、個人活動の集大成的に作られた作品だ。歌詞の一部には「彗星が僕の頭上を飛んだ 誰もいない夜の空を染めた 深く寝静まった街の中へ 降り注ぐのは誰の悲しみだろう?」や「星はまた弧を描いて飛んだ もやのかかった思考を晴らして「いつかまた会える」なんて言えなかった 星が降った後の街 僕はもうずっと君の行方を探してた」という部分がある。彼女は歌の中で人の悲しみを照らし救っているものの、曲が出たばかりのときはまだどこか踏ん切りがついていないような印象を受ける。
しかし今回のツアーでは、とても力強く揺るぎない歌声でこの曲を歌っていた。彼女とスタッフは今回のツアーで、色々な場所に行って、色々な星であるファンのみんなを集めて吸収し、スーパーノヴァを起こす、という思想を持っていたそうだ。その輝きは「天球、彗星は夜を跨いで」が生まれたばかりのときよりもはるかに大きなものになっていそうだ。
最後の曲は「Stellar Stellar」。今回のライブツアーすべてのアンサーになる、彼女の存在証明のような曲だ。「だって僕は星だから」と歌う彼女は、もう迷いがない。星のように輝く彼女は様々な人を導く道しるべとして、自発的に動く王子様として、この曲で多くの人を救おうとしている。実際「FIRST TAKE」での披露なども含め、ファン以外の人をもこの曲で虜にした事実がある。
今や一等星として輝き、ファンやホロライブのメンバーや多くのVTuberを照らしてきた星街すいせい。今度は彼女の夢だった日本武道館で、ライブ「SUPER NOVA」という超新星になり、最高レベルの輝きを見せてくれるという。今回のライブで無数の星だった観客や配信視聴者のエネルギーを受け取り、激しく煌めき爆発する彼女の輝きは想像を絶するものになりそうだ。今回のライブだけでも眩しすぎるくらい、彼女の歌声は迫力があったのだから、それをどう超えてくるのか見当がつかない。
今回のツアーで自身の存在を揺るぎないものにした彼女が見据えるものは何なのか、武道館公演の「星街すいせいを、書き換えよう。」というキャッチフレーズは何を意味するのか、ツアーが終わったばかりの現在ではあるが、もう待ち遠しくてソワソワしてしまう。彼女は「星」ではあるが、駆け巡る「彗星」でもある。その行く先を見逃さないように、これからも彼女の配信やMVなども含めて見守り続けたい。
セットリスト
01.駆けろ
02.バイバイレイニー
03.AWAKE
04.NEXT COLOR PLANET
05.Starry Jet
06.Run or Run fear. 不知火建設
07.しらないファンタスティックワールド feat.不知火建設
08.灼熱にて純情(wii-wii-woo)
09.7days
10.ネバーフィクション
11.なんもない feat. 星街すいせい, sakuma.
12.ビビデバ
13.Andromeda
14.放送室
15.綺麗事
16.GHOST
17.ソワレ
en01.天球、彗星は夜を跨いで
en02.Stellar Stellar
ライター:たまごまご
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